2020 Fiscal Year Research-status Report
ファーストメッセンジャーとしてのリンとその感知機構の解明
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20K17301
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
高士 祐一 福岡大学, 医学部, 講師 (50803524)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リン / 線維芽細胞増殖因子受容体1 / Ⅲ型ナトリウム-リン共輸送体 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでの研究の中で、リンがファーストメッセンジャーとして作用し、特に骨においては線維芽細胞増殖因子受容体1(fibroblast growth factor receptor 1: FGFR1)がリン感知受容体として機能しているとの着想に至った。そこで本研究では、リンによるFGFR1活性化の分子基盤を解明すること、また骨以外の臓器を含めたFGFR1の機能と臨床的意義について明らかにすることを目的とした。 現在まで我々は、骨におけるリン感知受容体であるFGFR1のさらなる上流の制御分子として、Ⅲ型ナトリウム-リン共輸送体の関与を見出している。Ⅲ型ナトリウム-リン共輸送体にはSlc20a1遺伝子のコードするPiT1とSlc20a2遺伝子のコードするPiT2の2種類が知られている。siRNAを用いたノックダウン実験から、骨におけるリンによるFGFR1の活性化には、PiT2ではなくPiT1が関与していることを明らかとした。これらの成績により、細胞外リンはⅢ型ナトリウム-リン共輸送体であるPiT1を介して細胞内に取り込まれ、細胞内からリガンド非依存的にFGFR1を活性化している可能性が示唆された。 また、野生型マウスにFGFR阻害剤であるNVP-BGJ398を投与した実験からは、副甲状腺におけるリン感知にもFGFR1が関与していることが示された。さらに、作製した骨特異的FGFR1欠失マウスを長期飼育したところ、本マウスはコントロールマウスに比して有意に短命であることが明らかとなった。すなわち、骨のFGFR1は血中リン濃度調節、高リン血症発症防御を介して、生存率の向上にも寄与していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
GFP-Trap法を用いたLC-MS/MS解析を予定しているが、GFP付加FGFR1発現細胞の作製がやや遅れている。GFP付加FGFR1のベクターは既に作製済みであるが、本ベクターの強制発現の系では、GFP付加FGFR1が本来の発現場所である細胞膜に局在しないことが判明した。そこで、安定発現細胞株の作製に切り替えて現在実験を進めている。また、Pth-Creマウスを用いた副甲状腺特異的FGFR1欠失マウスの作製がやや遅れている。COVID-19の感染拡大に伴い、動物実験は進捗の遅れを余儀なくされている。代替案として、野生型マウスにFGFR阻害剤を投与する実験を先行して行った。
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Strategy for Future Research Activity |
GFP-Trap法を用いたLC-MS/MS解析の施行を目指し、GFP付加FGFR1安定発現細胞株の作製を引き続き進めていく。本法によっても、FGFR1の細胞膜への局在が得られない場合は、標識するGFPの分子量に問題がるものと考え、より低分子の標識をゲノム編集の技術を用いて内因性のFGFR1に付加する方策を試みる予定としている。また、Pth-Creマウスを用いた副甲状腺特異的FGFR1欠失マウスの作製、およびSM22-Creマウスを用いた血管平滑筋FGFR1欠失マウスの作製は、in vivo実験の特性上代替案に乏しく、引き続き作出を進め、可及的速やかに解析に移ることを目指す。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大の影響でマウスを用いた動物実験に遅れが生じたため、当該助成金が生じた。翌年度分として請求した助成金に加えて、マウスの飼育費用およびマウス関連の実験・解析費用として充填する。
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Research Products
(5 results)