2023 Fiscal Year Research-status Report
Innovation of novel therapeutic strategies using siRNA for ichthyotic lesions of KID syndrome
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20K17315
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
滝 奉樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00846727)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | KID症候群 / GJB2 / 魚鱗癬症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の遺伝子治療研究は、siRNAを始めとしたRNA干渉の技術の向上により、新たな段階を迎えている。本研究では、特にgain-of-function型優性変異による遺伝性皮膚疾患において、標的遺伝子の機能を抑制するsiRNAを用いて、変異遺伝子発現を抑制することによる治療効果の実証研究を目的とする。 keratitis-ichthyosis-deafness(KID)症候群は、角膜炎、魚鱗癬、聴覚障害を三主徴とする症候群で、コネキシン26をコードするGJB2遺伝子変異により生じる常染色体優性遺伝の疾患である。コネキシンは、細胞膜上で6量体(コネクソン)を形成し、ヘミチャネルとして細胞内外の分子のやり取りをする他、細胞間の6量体同士が結合し、ギャップジャンクションを形成し、細胞間での分子のやり取りをする分子である。KID症候群は、変異コネキシンのgain-of-functionによりヘミチャネル機能異常を起こし、常染色体優性の発症を示す。この変異コネキシンの機能をsiRNAで抑制することにより、実際に魚鱗癬を治療する事で、この治療方略の有用性を実証する。 本年度は、培養細胞の系で、GJB2遺伝子変異を導入した細胞の導入効率を最大限にまで上げる条件設定と、細胞の選定に時間を費やした。同時に、GJB2遺伝子変異を導入したマウスモデルの代用手段の模索を行ってきた。 ケラチノサイトのような分化のレベルが進んだ細胞へのGJB2遺伝子変異導入が困難であり、GJB2遺伝子変異を恒常発現する細胞株の作成を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
表皮でのGJB2遺伝子変異の影響を観察したいため、導入細胞は、ケラチノサイトを使用する必要があるが、ケラチノサイトのような分化のレベルが進んだ細胞へのGJB2遺伝子変異導入が困難であり実験に耐えうる優位な導入効率を実現する条件設定に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
GJB2遺伝子変異のケラチノサイトへの導入効率を上げるために、カルシウム濃度を変化させて、より導入細胞を未分化な状態にしたり、GJB2遺伝子変異を恒常発現する細胞株の作成を検討している。
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Causes of Carryover |
解析に耐えうる細胞の実験系の確立ができていないため、解析のための費用として残していた部分が次年度使用額として生じた。 本年度で概ね実験系は確立できてきたので、次年度からは解析のための費用が入ってくる見通しである。
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