2023 Fiscal Year Annual Research Report
Chontrol of inflammatory skin diseases by selective Wnt/beta-catenin/CBP signal inhibition
Project/Area Number |
20K17321
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
広瀬 晴奈 大分大学, 医学部, 助教 (50750915)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | Wnt/β-catenin/CBPシグナル / アトピー性皮膚炎 / 乾癬 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス(C57BL/6JJsmSlc)に、イミキモドを7日間塗布して乾癬様皮膚炎を誘導するマウスモデルにおいて、選択的Wnt/β-catenin/CBPシグナル阻害(ICG-001)を皮内投与することによる皮膚炎病変への影響は認めなかった。RNAシークエンスにて、遺伝子発現比較、クラスタリング、上流解析を施行したところ、up-regulated geneとdown-regulated geneが同定された。 次に、マウスの種類を、皮膚症状を誘発しやすいとされるBALB/cCrSIc に変更してイミキモド誘導性乾癬様皮膚炎モデルを作成し同様の実験を行った。その結果は、C57BL/6JJsmSlcを使用した場合と同様であった。 <研究期間全体を通じての成果と考察> アトピー性皮膚炎の病態と乾癬の病態には、Wnt/β-catenin/CBPシグナルの関与の違いに関連した違いがあるものと推察された。特に、真皮の肥厚が特徴的なアトピー性皮膚炎モデルでは炎症抑制効果があり、真皮の肥厚を示さなかった乾癬モデルでは炎症抑制効果を示さなかったことは、選択的Wnt/β-catenin/CBPシグナル阻害は真皮のリモデリング阻害を通じて皮膚炎抑制効果を示す可能性を示唆する。そして、アトピー性皮膚炎の病態における真皮のリモデリングの重要性を浮き彫りにしているとも言えるかもしれない。更に、Wnt/β-catenin/CBPシグナル阻害による遺伝子の変動に関するデータも得られたことから、アトピー性皮膚炎と乾癬の病態の違いについて研究する上での重要な知見を得たものと考える。今後は、アトピー性皮膚炎モデルにおいて真皮リモデリングが生じる前と後とでICG001の効果の違いがあるかについての検証や、アトピー性皮膚炎モデルにおけるICG-001投与時のRNAシークエンス解析結果との比較・分析を行うことにより、アトピー性皮膚炎と乾癬の病態の違いについての更に重要な知見が得られ、両疾患の病態の本質に迫る可能性がある。
|