2021 Fiscal Year Annual Research Report
アテロームの2病型をモデルとした、表皮ー毛包上皮間の相互分化機序の理解
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20K17322
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山口 さやか 琉球大学, 病院, 講師 (70571397)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アテローム / 表皮嚢腫 / 粉瘤 / 外毛根鞘嚢腫 / 毛包性角化 / 表皮角化 / トランスクリプトーム解析 / 毛包分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、ヒトの掌蹠と体幹の皮膚の特徴を遺伝子発現の網羅的解析により説明すべく、角層形成や自然免疫などの多様な相違点について調べてきたが、掌蹠の表皮分化や汗腺などの皮膚付属器の誘導因子は発見できていない。本研究では、表皮嚢腫と外毛根鞘嚢腫の属性の極めて類似したアテロームの2型を用いる。それぞれ、表皮と毛包を非常に純粋に単純化した腫瘍であり、その発生母地の角化機序、分化誘導を反映している。表皮嚢腫は毛包間表皮を、外毛根鞘嚢腫は毛包上皮を発生母地としており、これらの分化形態を反映した嚢腫形成となっている。これらのトランスクリプトーム解析により、皮膚における毛包分化の誘導因子の特定を目的とする。さらに、これら属性を持つ皮膚のまだ発見されていない表現型やそれぞれ固有の常在菌叢の検出も試みたい。 これまでに、通常の皮膚科診療において、切除された検体で、病理組織学的検査により、感染を生じていない非破壊性の表皮嚢腫と外毛根鞘嚢腫と診断された検体を選別した。 これらの組織よりRNAを抽出し、トランスクリプトーム用ライブラリーの基質とし、網羅的遺伝子発現の生データを取得した。 表皮嚢腫9例、表皮嚢腫(足底)7例、外毛根鞘嚢腫7例、増殖性外毛根鞘腫瘍2例、皮様嚢腫2例について、トランスクリプトームデータを取得することができた。今後、DeseqやedgeRなどの専用解析ライブラリやLasso回帰、主成分分析の因子負荷量計算など複数の統計学的解析を行い、階層状に絞り込みを行う。上記の発現変動解析で得られた個別の分化誘導に関連する遺伝子や、新たに発見された表現型マーカーについて、多数の健常皮膚や粉瘤組織において免疫組織学的に検証する。さらに、特定した分化誘導因子について、初代培養ヒト培養角化細胞へ添加し、実際に毛包への分化を、内外毛根鞘特異なケラチン発現などを追跡することで検証する。
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Research Products
(23 results)