2021 Fiscal Year Research-status Report
水疱性類天疱瘡においてDPP-4阻害薬が免疫寛容の破綻に及ぼす影響についての研究
Project/Area Number |
20K17334
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
泉 健太郎 北海道大学, 医学研究院, 助教 (50793668)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水疱性類天疱瘡 / 自己免疫疾患 / 17型コラーゲン / 自己抗体 / DPP-4阻害薬 / ELISA |
Outline of Annual Research Achievements |
水疱性類天疱瘡(BP)は、高齢者に好発する自己免疫性水疱症である。表皮真皮間接合を担うBP180の中でもBP180NC16a領域に対する自己抗体により水疱が生じることが広く知られている。近年、2型糖尿病治療薬であるDipeptidyl peptidase-IV阻害薬(DPP-4i)の投与に関連したBPの報告例が相次いでいることに加え、欧州を中心とした大規模な疫学研究により、DPP-4iの投与とBP発症の強い因果関係が証明されていることからDPP-4i関連BPに対する関心が高まっている。しかし、DPP-4iが自己免疫寛容の破綻にどのように作用するかは未だ全く不明である。本研究では、“なぜ特定の個体でBPが発症するのか?”というBP発症についての根幹をなす謎を解き明かすためにDPP-4iがBP180に対する免疫寛容の破綻とBP発症に関与していることに着目し、BP180ヒト化マウスを全長ヒトBP180リコンビナントタンパクにより免疫した後にDPP-4iを投与し、BP自己抗体の誘導と皮膚症状の惹起にどのような影響を及ぼすかを評価した。 2021年度はBP180リコンビナントタンパクで強制免疫したマウスについてDPP-4阻害薬の投与の有無で誘導される抗基底膜部自己抗体の抗体価についてBPの主要な自己抗体エピトープであるNC16A領域タンパクを用いたELISAとBP180全長リコンビナントタンパクを用いたELISAを用いて測定したが、DPP-4阻害薬投与群・非投与群にて抗体価の平均値はいずれのELISAにおいても差は認めなかった。 2022年度は両群の自己抗体が認識するエピトープについてBP180の細胞内領域やC末端領域、中間領域などの領域特異的リコンビナントタンパクを用いたエピトープマッピングを施行する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BP180ヒト化マウスに対するhBP180リコンビナントタンパクによる抗BP180自己抗体の誘導実験を行い、BP180NC16aELISAやBP180全長ELISAを用いて自己抗体価の検出・定量を行い、DPP-4阻害薬投与群と非投与群における抗BP180自己抗体価の比較を完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
自己抗体を誘導することができた個体については自己抗体の標的部位を同定するため、BP180の細胞内領域やC末端領域、プラスミン処理にて断片化したBP180中間領域などの領域特異的リコンビナントタンパクを用いたエピトープマッピングを施行する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ化による学会の現地参加に要する旅費に計上していた予算がハイブリッド開催により執行されなかったことや人件費の支出が不要となったことなどにより次年度使用額が生じた。今後は得られたマウス血清における自己抗体のエピトープマッピングのための領域特異的ペプチドの精製や作成に必要な分子生物学的・生化学的試薬の購入費用やマウスの飼育費などに助成金を使用する計画である。
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Research Products
(2 results)