2021 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子SOX2による皮膚虚血再灌流障害(急性期褥瘡)における 制御機構の解明
Project/Area Number |
20K17340
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
内山 明彦 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (90760538)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 転写因子 / SOX2 / 皮膚虚血再灌流障害 / 酸化ストレス / 急性期褥瘡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、転写SOX2による皮膚虚血再灌流障害(急性期褥瘡)に対する生体防御機構の機序を解明することを目的とした。具体的には①転写因子SOX2による酸化ストレスの制御機構の解明と②転写因子SOX2のターゲット遺伝子に着目した褥瘡治療効果の検討を行い今後の臨床応用への基盤となる研究を細胞レベル・個体レベルで解明する。 磁石を用いたマウス皮膚虚血再灌流障害(急性期褥瘡)の実験系を利用し表皮細胞特異的にSOX2の発現をタモキシフェン投与下で誘導できるK14CreERTM/LSL-SOX2(TG)マウスを用いて、コントロール群とSOX2発現群で磁石を用いた皮膚虚血再灌流障害後に生じる潰瘍形成を比較した。その結果、SOX2発現群において有意に潰瘍形成が抑制されることを見出した。さらに皮膚虚血再灌流後の潰瘍部を含む皮膚組織を用いて炎症細胞浸潤(免疫染色:MPO陽性好中球数、CD68陽性マクロファージ数) 、アポトーシス細胞数(TUNEL染色)、血管傷害(CD31染色)について検討を行ったところ、SOX2発現群では炎症細胞浸潤や血管傷害、アポトーシス細胞が有意に抑制されることも明らかにした。さらにTGマウスとOKD48-Lucマウスを交配させ、TG/OKD-48マウスを作成する。皮膚表皮細胞に発現させたSOX2が皮膚虚血再灌流障害により生じる酸化ストレスに与える影響を検討したところ、SOX2発現マウスではNrf2シグナルが亢進していることを発見した。これらのことから表皮細胞に発現したSOX2は虚血再灌流障害において抗酸化ストレス機能を上昇させ、表皮や真皮内の組織障害を軽減している可能性が示唆された。今後転写因子SOX2のターゲット遺伝子による皮膚虚血再灌流障害に対する治療応用を検討する。
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