2020 Fiscal Year Annual Research Report
肥満細胞による末梢組織常在マクロファージ前駆細胞を介した線維化メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K17341
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
若林 正一郎 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (30645627)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肥満細胞 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において肥満細胞とみなされていた新たな細胞集団である組織常在マクロファージ前駆細胞(tissue-resident macrophage progenitor:TRMP)の有無により、線維化のメカニズムにどのように関与しているかを解析した。 まず、野生型マウスと肥満細胞欠損マウス(Cpa3Cre/+マウス)の腹腔に透析液を注入する腹膜線維化モデルマウスと、耳と背部皮膚にブレオマイシンを注入して作製した皮膚線維化マウスの確立を目指した。腹膜線維化モデルマウスの手法は確立できなかったが、耳と背部皮膚の皮膚線維化モデルマウス作製する手法を確立した。 線維化皮膚に対して線維化のマーカーの蛍光免疫染色やフローサイトメトリー、ELISA法によりタンパク量の定量化を行い、野生型マウスと肥満細胞欠損マウスでは有意差はなかったものの、耳介の厚さについては肥満細胞欠損マウスの方が肥厚が弱い結果となった。 また、線維化する前の腹腔細胞から常在細胞を採取し、TRMPについてsingle cellのRNAシークエンスを行ったところ、マクロファージ系、肥満細胞系、線維化系のマーカーが肥満細胞と比して優位に高い結果となったため、qPCRにて再度確認を行ったところ、同様の結果が得られた。 さらに、肥満細胞と線維芽細胞のみをin vitroで共培養すると、TRMPのに発現している増殖因子のマーカーであるIL-3、CD135がコントロールと比して高く検出されたため、肥満細胞と線維芽細胞の相互作用によりTRMPの増殖を促す可能性が示唆された。 以上からTRMPが線維化のメカニズムに寄与している可能性があると考えた。
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