2020 Fiscal Year Research-status Report
種痘様水疱症の早期治療介入マーカーとγδT細胞による重症化制御機構の検討
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20K17352
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三宅 智子 岡山大学, 大学病院, 助教 (30749627)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 種痘様水疱症 / Epstein-Barr virus / ガンマデルタT細胞 / MIG |
Outline of Annual Research Achievements |
種痘様水疱症(Hydora vaccniforme; HV)は、小児に認める光線過敏症であり、皮膚症状のみを日光露光部の皮膚に認める古典型 (classical HV: cHV)と、非露光部にも皮膚症状を認め、発熱、リンパ節腫脹あるいは肝機能障害等の全身症状を認める重症型 (systemic HV: sHV)の2つの病型がある。cHVは、γδT細胞にEpstein-Barr virus (EBV)が感染し、予後良好であるが、sHVではαβT細胞にEBVが感染し、小児だけではなく、高齢者にも認め、化学療法や移植等が必要になる予後不良な疾患である。一方経過中にcHVからsHVへ移行する患者も認めるが、cHVからsHVへ移行する際の診断マーカーに関しては明確な基準がないことが現状にある。 今回我々はcHVとsHVの診断マーカーの検討とγδT細胞にEBVが感染し、予後良好であるcHVの病態においてγδT細胞のEBVに対する免疫応答能を検討することでγδT細胞による新規治療介入が可能かを検討することを目的とした。 Monokine induced by interferon-γ(MIG)は、IFNγによって誘発されるケモカインで、NK細胞やT細胞を活性化することで腫瘍を抑えたり、抗ウイルス効果を示すことが報告されており、HVの皮膚病変部でも発現を認めることが報告されている。本研究において、血漿中のMIGの値は、sHVではcHVと比較して、有意に高値を示していた。またROC曲線にて、上記疾患を分類するために検討した結果、152 pg/mlで感度と特異度ともに89%であった。これらの結果より血漿中のMIGは、cHVとsHVを診断するためのマーカーとして臨床応用可能である可能性を考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小児に認める希少難治疾患であり、患者の通院が年に1回程度であるため血液培養の準備と患者の受診のタイミングに問題があったことが考えられる。現在は培養系は樹立しており、患者の受診を今後予定としている。免疫応答実験に関しては、EBV陽性細胞であるRaji細胞、SNT細胞が失活していたため、再度新しい細胞を準備し、まずはEBV陽性細胞のみで免疫応答予備実験を行い、実験系が当院内で一定して行えるかを検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
cHV患者の検体からのγδT細胞の細胞株の樹立とγδT細胞のEBV陽性細胞への免疫応答の検討を行うことを目的とし、細胞培養系に関してはすでに樹立しており、県外を含めた患者を他院の先生とも連携をとり、現在対応中である。また攻撃実験に関しては、まず予備実験としてEBV陽性細胞のみで実験手技が問題なく遂行できるかを、細胞の最大漏出と最小漏出値を検討し、手技自体の一定を確認している。本年度内にこれを確認し、問題なければ凍結しているγδT細胞(正常人)を使用して、攻撃実験を行う予定である。また追加実験として、皮膚病変部におけるMIGの発現とMIGの受容体であるCXCR3の免疫染色を行っている。
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Research Products
(2 results)