2020 Fiscal Year Research-status Report
多発性骨髄腫におけるレナリドミドのNK細胞感受性を決定する要因の探索
Project/Area Number |
20K17368
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小林 敬宏 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (70814002)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | KIR / NK細胞 / 多発性骨髄腫 / レナリドミド |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性骨髄腫の病態解明の進歩及びそれに伴う新規薬剤の登場により、多発性骨髄腫の予後は改善している。しかし、体内に存在する骨髄腫のクローンは多様であるため新規薬剤やT細胞を中心としたがん免疫療法を用いてもいまだに難治性であり、新たな治療戦略の開発が望まれる。BCL2阻害剤やBCMAを標的とした治療、様々な分子をターゲットにしたCAR-T療法などが良好な結果を示しており期待される治療であるが、NK細胞はT細胞とは異なるメカニズムで腫瘍細胞を認識して障害しうるため、NK細胞を標的としたNK細胞療法にも期待がかかる。 先行研究でLd療法前後のPBMCのフローサイトメトリー解析を行った結果、NK細胞の活性化がLd療法の良好な奏効と相関することを見出した。しかし、レナリドミドによるNK細胞活性化の個体差の要因は不明であった。本研究では、レナリドミドによるNK細胞活性化の個体差の要因を探索し、NK細胞をターゲットにした新たな治療戦略につなげることを目的とする。 レナリドミドに対するNK細胞感受性の違いに関わる因子として、NK細胞におけるレナリドミドの細胞内濃度の違いや骨髄腫細胞のHLA発現レベルとNK細胞のKIRハプロタイプに注目している。これまでに、40名の骨髄腫患者のKIR遺伝子座のタイピングを行った。その結果、KIR遺伝子座の違いによってLd療法の奏効持続期間に違いが生じることが分かった。今後、腫瘍細胞のHLA発現度やNK細胞の細胞内レナリドミド濃度にも注目して研究を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
KIRハプロタイプとLd療法の奏効持続期間に関連を見出した。多発性骨髄腫の同種移植においてドナーKIRハプロタイプによってPFSに差が出ることが報告されているが、Ld療法においてもKIRハプロタイプによって治療反応が層別化される可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
患者検体を用いて、ABCB1遺伝子多型によるNK細胞の細胞内レナリドミド濃度の違いを評価する。また、その際にNK細胞活性化に違いが生じるかを評価する。 腫瘍細胞のHLA発現レベルとNK細胞のKIRハプロタイプの組み合わせでレナリドミドによるNK細胞療法に差があるか評価する。
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Causes of Carryover |
一部の研究が予定より遅れたため、次年度への繰り越し金が生じたが次年度の試薬購入に充足予定である。
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Research Products
(1 results)