2021 Fiscal Year Annual Research Report
シングルセル解析を用いた加齢造血幹細胞の機能低下機序の解明とその機能回復の試み
Project/Area Number |
20K17370
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小出 周平 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (10845126)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 加齢 / 老化 / 造血幹細胞 / シングルセル解析 / 造血器腫瘍 / 分子シャペロン / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では若齢、並びに高齢マウスより回収した造血幹細胞をRNA-sequence解析を行い、転写発現状態を網羅的に解析を行った。その結果、高齢マウス造血幹細胞において分子シャペロンであるClu(クラスタリン) のmRNAが特異的に高発現していることを明らかにした。さらに同じく若齢と高齢マウス造血幹細胞を用いてsingle cell RNA-sequence解析を行った結果、Cluの発現は高齢マウス造血幹細胞の中でも特定の集団において高度に発現していることが明らかとなった。次に、Cluが造血幹細胞においてどのような役割を示すのか、Cluの遺伝子領域上流にGFPを挿入したレポーターマウスを用いて機能解析を行った。その結果、Clu発現造血幹細胞は加齢に伴い細胞割合が増加することが明らかとなった。さらに若齢マウスから単離したClu陰性造血幹細胞とClu陽性造血幹細胞を致死量放射線照射したマウスに移植することで、骨髄再構築能から造血幹細胞活性を評価した。その結果、Clu陽性造血幹細胞は骨髄再構の効率が著減し、成熟細胞への分化能が骨髄球系に偏ることなど加齢マウスの造血幹細胞と類似した機能を示した。続いて、加齢に伴いClu陽性造血幹細胞が拡大する機序を明らかにするために、造血幹細胞を様々な炎症サイトカインで惹起し、Cluの誘導効率を検証した。その結果、高齢マウスの血漿中で濃度が増加することが知られているI66がCluの発現誘導することを明らかにした。 以上の結果から、高齢マウスにおける造血幹細胞が若齢型と比べて機能が低下する原因として、加齢個体内においてIL6の濃度上昇を介してClu陽性型の造血幹細胞が増加することに起因することが示された。
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