2022 Fiscal Year Annual Research Report
癌関連血栓症の病態形成における血小板活性化受容体CLEC-2の寄与
Project/Area Number |
20K17374
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
白井 俊光 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (50710381)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 血小板 / CLEC-2 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は癌関連血栓症マウスモデルの樹立と、CLEC-2を標的とした抗血小板療法の治療効果について調査した。 癌関連血栓症マウスモデルとして、LLCマウス肺癌細胞を皮下移植したマウスの大腿静脈を塩化鉄で傷害し、血管閉塞時間を測定した。担癌マウスは健常マウスに比べて血管閉塞時間が有意に短縮した。 抗CLEC-2抗体2A2B10を担癌マウスに投与し、後天的に血小板上のCLEC-2を除去した。血管閉塞時間はコントロール抗体投与群と比較して有意に延長した。一方、健常マウスのCLEC-2を欠損させても血管閉塞時間は延長しなかった。 研究機関全体を通じて、CLEC-2のリガンドであるポドプラニンは癌関連線維芽細胞上に発現し、直接的な結合あるいは細胞外小胞を介して血小板を活性化する事を見出した。LLC担癌マウスでは腫瘍組織からポドプラニンを含む細胞外小胞が放出され、血漿ポドプラニン濃度が上昇していた。最終的に、CLEC-2療法はポドプラニンが出現する担癌状態でのみ血栓形成を抑制した。すなわち、ポドプラニンとCLEC-2の相互作用は癌関連血栓症特異的に発生する血栓形成メカニズムである事を示した。CLEC-2は止血機能への寄与の少ない血小板活性化受容体であるため、従来の抗血小板薬よりも安全に癌関連血栓症を抑制する可能性が示された。
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