2022 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism of drug resistance acquired after chemotherapy in IDH1-NPM1 mutant AML
Project/Area Number |
20K17377
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阪本 貴士 京都大学, 医学研究科, 助教 (70866582)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 急性骨髄性白血病 / 薬剤抵抗性獲得機序 / IDH1 / NPM1 |
Outline of Annual Research Achievements |
予後不良因子を持たないNPM1変異急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia; AML)を含む、予後良好群AMLは、アントラサイクリン・シタラビンによる化学療法が標準的治療であるが、一旦寛解した後に薬剤抵抗性クローンを源に再発を来す症例も多く、長期予後は満足できるものではない。 研究代表者らが留学中に確立したIdh1-Npm1変異ダブルノックインマウスは、表現型や遺伝子発現プロファイルの点で、実際のヒトで発症する病態を良く模倣するAMLを発症した。Idh1-Npm1変異マウスAML骨髄細胞を、放射線照射レシピエントマウスに移植することにより、容易に数十個体の移植AMLマウスを作成することが可能であり、薬剤効果実証実験が可能である。上記の点から、非常に理想的・実用的なAML疾患モデルマウスである。 この移植Idh1-Npm1変異AMLマウスモデルに対する、in vivo 化学療法(アントラサイクリンおよびシタラビン、およびその両者)を行った。In vitroでの薬剤添加実験においては、アントラサイクリンが良好な感受性を示す一方、シタラビンの感受性は野生型マウス骨髄細胞と同等であったが、この観察結果をin vivo 薬剤効果実証実験では再現することが出来ていない。さらなる実験系の洗練化と考察が必要である。一方で、アントラサイクリン・シタラビンの併用化学療法は、移植Idh1-Npm1変異AMLマウスに対して、有意な生存延長効果を示した。 上記のようにin vivoマウス実験で、アントラサイクリン系薬剤+シタラビン併用化学療法が一旦奏功した後に再増殖してくる化学療法抵抗性AML細胞を誘導することを試み、化学療法抵抗性が獲得されるメカニズムを解明することを目指す。化学療法抵抗性誘導を妨げるような新規治療戦略の開発につながることが期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題のスタートアップ当初(令和2年度当初)は、まさにCOVID-19の全世界的な流行が始まった時期であった。研究代表者が所属するのは医療機関も含む研究機関であることから、同時期には、施設内クラスターの発生を強力に予防するべく、研究活動も制限が行われる事態であった。私自身、留学より帰国後で、所属研究機関において新たに研究をスタートアップする段階であったため、この研究活動の制限の影響を強く受けることとなった。令和2年度後半からは研究を進めることができているが、全体としてはやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
一旦化学療法が奏功した後に再増殖してくるAML細胞を回収し、化学療法抵抗性を獲得する過程をin vivoマウス実験にて再現し、化学療法抵抗性が獲得されるメカニズムを解明することを目指す。薬剤抵抗性獲得機序を明らかにすることができれば、同機序を阻害する治療戦略が開発し得る。新たなコンセプトの治療戦略開発につながる可能性が期待できる。
|
Causes of Carryover |
本研究課題のスタートアップ当初(令和2年度当初)、新型コロナウイルス流行により、所属研究機関において、研究活動制限が実施された。臨床系研究室も含む研究施設であることから、この制限の影響をより厳しく受けることを余儀なくされた。私自身、留学より帰国後で、現所属研究機関において新たに研究室をスタートアップさせる段階であったため、この制限による研究開始の遅延により、研究計画のタイムライン全体が遅延することとなった。このように研究開始自体の遅れにより全体としてやや遅れてはいるものの、計画している研究は遂行できており、令和5年度に次年度使用額を使用する計画である。
|