2023 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of drug resistance acquired after chemotherapy in IDH1-NPM1 mutant AML
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20K17377
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阪本 貴士 京都大学, 医学研究科, 助教 (70866582)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / 薬剤抵抗性 / 疾患モデル動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
予後不良遺伝子異常を併存しないNPM1変異急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia; AML)は予後良好群に属する。しかしながら化学療法により完全寛解に到達した後に再発を来す症例も多く、長期予後は満足できるものではない。そこで本研究では、化学療法抵抗性を獲得する分子学的機序を解明し、化学療法抵抗性クローンの誘導を妨げる治療戦略の開発につなげることを目的と定めた。 私が留学中に確立したIdh1-Npm1変異ダブルノックインAMLマウスモデルは、その骨髄細胞を放射線照射レシピエントマウスに移植することにより、多数個体の移植AMLマウスを作成することができる。AML細胞を移植するためのレシピエントマウスには放射線照射が必要だが、前年度までにおいて、その放射線照射量を最低限にとどめるべく最適化実験を行い、2Gyまで減らしても移植Idh1-Npm1変異AMLマウスモデルを作出できることを確認した。このたびの最終年度においては、この移植AMLマウスに対して化学療法を行い、アントラサイクリン+シタラビンの併用治療群は生存延長効果を示したものの、それぞれ単剤での治療群は生存延長効果を認めなかった。これは、AML細胞移植前の放射線照射による骨髄抑制に化学療法による骨髄抑制が加わることで強度の血球減少を生じてしまい、それによって死に至ってしまう個体が一定数認められたという実験系の限界と考えられた。そこで、当初はアントラサイクリンおよびシタラビン各々の薬剤耐性を研究する計画であったが、2剤併用治療のもとで誘導された化学療法耐性を解析する方針に転換した。無治療群マウスから回収したAML細胞と、併用化学療法群マウスにおいて一旦治療により減少したのちに再増殖してきたAML細胞とを、保管することに成功した。これらを詳細解析に呈することは未だ叶っていないが、今後化学療法抵抗性の克服を目指した治療法開発研究にとって有用な実験マテリアルを得ることに成功した。
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