2023 Fiscal Year Research-status Report
Transcriptome analysis and identification of treatment target in daratumumab-resistant multiple myeloma cells
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20K17387
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
扇屋 大輔 東海大学, 医学部, 講師 (50589778)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 / CD38 / タラツムマブ / モノクローナル抗体 / スプライシングバリアント / KDM6A |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性骨髄腫(multiple myeloma;以下MM)は免疫グロブリン産生細胞である形質細胞が腫瘍化した血液悪性腫瘍であり、CD38を高発現している。近年、抗CD38モノクローナル抗体薬であるダラツムマブ(daratumumab;以下DARA)が臨床導入され治療成績は著しく向上したが、いずれDARAに耐性化し再発する。DARA耐性化の機序としてMM側の因子と免疫環境側の因子が報告されており、MM側の因子としてCD38の発現量低下や補体制御タンパク(CD55、CD59)の上昇などが報告されているが、大規模な報告は認めず、詳細な耐性化の機序の解明が望まれている。申請者は、骨髄微小環境中のストローマ細胞から産生されるInterleukin-6によるSTAT3の活性化がMM細胞のCD38の発現低下を誘導しDARA抵抗性と関わることを発見した。現在、MM細胞におけるDARA耐性獲得の機序をさらに多角的・包括的に解明することで、DARA耐性化を誘導せずDARAの効果を最大限引き出す併用療法を確立すること、DARA耐性獲得後の新たな治療標的を見出すことを目的とし研究を進めている。特にDARA耐性獲得前後のMM細胞のトランスクリプトーム解析を行うべくDARA耐性前後のMM患者サンプルを収集した。また、MM患者のフローサイトメトリによるCD38の発現強度解析により、CD38の発現が患者毎に多様性があることが判明し、治療効果との関連を考察している。さらに、CD38のスプライシングバリアントに注目した解析や、DARAによるNK細胞を介した抗体依存性細胞障害におけるCRISPR screeningからKDM6AがCD38の発現を調節していることを明らかにし発表した。今後はさらに臨床応用可能な知見を得ることができるよう解析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度まではMM患者のCD38の発現強度・発現パターン解析、JAK-STAT3経路の活性化によるCD38発現低下に関わる因子の検索、CD38発現と相関を示す因子の公共データベースを用いた解析、CD38のスプライシングバリアントの解析を行い、CD38の発現につき理解を深め、その発現調節に関わる因子の同定に努めてきた。 2022年度にはDARA耐性細胞のトランスクリプトーム解析に必要な患者サンプルの収集を進めていたが、従来治療と比較してDARAの治療効果が非常に高いため、DARA治療後の再発例が少ないこと、再発した際にも骨髄中のMM細胞割合が少ないため十分な検体量が得られにくいことにより、サンプル収集に非常に難渋している。また、スプライシングバリアントの解析において、新規スプライシングバリアントの細胞株における強制発現に難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の推進方策として、これまでに解析した結果を複数のテーマに分解し、独立したテーマを一部英文誌に投稿し、他のテーマについては臨床的に意義のある解析を進めていく。具体的に独立したテーマとして、MM患者のフローサイトメトリ解析の結果をさらに詳細に検討して報告する予定である。2021年度に解析を行ったCD38の新規スプライシングバリアントについて、解析を進めているが、新規スプライシングバリアントの強制発現に難渋しているため、臨床的な意義を見出すべくDARA耐性患者のMM細胞の解析を行っていく。また、DARA耐性前後のMM患者サンプルの収集に対するエフォートをこれまで以上に割き、トランスクリプトーム解析を予定する。上記の複数の手法を用いて解析を行うことで、多角的・包括的にDARA耐性に関わる因子を同定し、臨床的に意義のある治療標的の同定を目指す。
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Causes of Carryover |
現在ダラツムマブ(DARA)耐性細胞のトランスクリプトーム解析に必要な患者サンプルの収集を進めている。従来治療と比較してDARAの治療効果が非常に高いため、DARA治療後の再発例が少ないこと、再発した際にも骨髄中のMM細胞割合が少ないため十分な検体量が得られにくいことがわかった。そのため、患者のサンプル収集に想定以上の時間を要したため、次年度に使用額が生じた。さらに、臨床業務や子の養育で多忙であったことも原因のひとつとして挙げられる。 残金を利用して、DARA耐性患者のサンプルにおけるトランスクリプトーム解析を施行し、DARA耐性に関わる因子を同定する。
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[Journal Article] Epigenetic regulation of CD38/CD48 by KDM6A mediates NK cell response in multiple myeloma2024
Author(s)
Jiye Liu, Lijie Xing, Jiang Li, Kenneth Wen, Ning Liu, Yuntong Liu, Gongwei Wu, Su Wang, Daisuke Ogiya, Tian-Yu Song, Keiji Kurata, Johany Penailillo, Eugenio Morelli, Tingjian Wang, Xiaoning Hong, Annamaria Gulla, Yu-Tzu Tai, Nikhil Munshi, Paul Richardson, Ruben Carrasco, Teru Hideshima, Kenneth C Anderson
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 15
Pages: 1367
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research