2022 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄腫幹細胞のexosome分泌型miRNAを介した低酸素生存適応
Project/Area Number |
20K17388
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
戸田 侑紀 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (40779724)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Exosome分泌 / 分泌制御シグナル / HK2発現制御 / 細胞生存 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、骨髄腫幹細胞のアキレス腱として『細胞外分泌小胞(exosomes) によって分泌されるRNA(exRNA)』に着目し、低酸素環境に潜む骨髄腫幹(HA-MM)細胞の生存戦略を分子メカニズムから解明することである。当初、遺伝子組換え操作による条件付きexRNA分泌不全株の作製を試みたが、樹立できなかった。そのため、作用機序の異なる複数のexosome分泌阻害剤を用いてHA-MM細胞での細胞死誘導の再現性を確認した。Exosome分泌阻害剤により発現量が低下するHK2はミトコンドリアにおいて抗アポトーシス作用を発揮する。同薬物処置により、ミトコンドリア中HK2発現量が低下していた。よって、HA-MM細胞におけるEV分泌はHK2の発現およびミトコンドリアへの局在制御を介して細胞生存に関与する可能性が示唆された。また、HA-MM細胞のEV分泌能が親株と比べて変動しており、それがAkt活性に依存することを明らかにした。Akt活性が増加したHA-MM細胞株において、PI3K/Akt阻害剤を処置するとEV分泌量が低下した。反対に、Akt活性が低下したHA-MM細胞株において、Akt活性化剤を処置するとEV分泌量が上昇した。Akt下流にて細胞内小胞輸送に関与するAS160の発現がAkt活性と一致した挙動を示したことから、本分子を介したexosome分泌制御の可能性が示唆された。以上より、本研究課題では骨髄腫細胞の低酸素適応下におけるexosome分泌の制御および生存への寄与に関するメカニズムを明らかにした。上記メカニズムに基づいてexosome分泌を制御する新規の骨髄腫治療戦略を提唱する。
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Research Products
(7 results)