2020 Fiscal Year Research-status Report
T細胞リンパ腫におけるHDAC阻害剤耐性機構の解明と耐性克服の治療戦略の確立
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20K17393
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
北舘 明宏 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (90791559)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | T細胞リンパ腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は樹立したHDAC阻害剤耐性T細胞リンパ腫細胞株について詳細な機能解析を行った。これら細胞株はHDAC阻害剤暴露下でも細胞増殖抑制がかからず、HDAC阻害剤によるアポトーシス誘導も有意に低下していた。HDAC阻害剤耐性細胞株におけるアポトーシス関連遺伝子の発現を検討したが、BCL2・MCL1・BCL2L1等の代表的抗アポトーシス関連遺伝子の発現は細胞株間で一定の傾向を示さなかった。また、venetoclaxやnavitoclaxを用いて、アポトーシスを標的にした新規分子標的薬の感受性変化についても検討を行ったが、細胞株間で共通の傾向を見出すことができなかった。一方、耐性細胞株では代謝関連遺伝子の発現変動を認め、解糖系代謝経路のdown-regulationが生じていることが示唆された。解糖系代謝から何らかの代謝経路へとシフトしているものと思われ、現在詳細を検討中である。耐性細胞株において依存している代謝経路を見出すことができれば、新たな治療標的とすることができるだろう。さらに、耐性細胞株ではT細胞リンパ腫における重要なサイトカインであるIL-22の発現亢進を示すことも見出した。IL-22の発現亢進によりJAK-STAT経路の亢進が認められており、JAK阻害剤に対する感受性変化についての検討を現在行っている。また、複数の耐性細胞株を用いて、マイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析を行っており、現在この結果から細胞株間で共通して生じる異常の同定を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
課題開始後に新たに二つのHDAC阻害剤耐性細胞株を樹立できたが、全ての耐性細胞株に共通したフェノタイプの変化を見出すことに時間を要した。p53変異状態など細胞株の元々の特性を考慮した上で検討を進める必要があった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在マイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析を施行したところである。これにより、複数の耐性細胞株において共通した変化を見出すことが可能になると思われる。今後は、網羅的遺伝子発現解析から見出された共通して生じる異常を中心に検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
マイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析を実施する時期が遅れたため。この費用は翌年度に支出することとなっており、実験計画に大きな変更はない予定である。
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