2021 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-1感染伝播、ATLの発症/悪性化を阻止しうる新規治療の開発
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20K17402
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
原田 武志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (10618359)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 血液腫瘍学 / 成人T細胞白血病リンパ腫 / PIM1 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん原遺伝子であるPIMキナーゼファミリーでは、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)細胞において、正常細胞(末梢血単核細胞)と比較すると、PIM1が高発現していた。PIM阻害薬PIM447は、in vitro でATL細胞に対して細胞傷害活性を濃度依存的に発揮すること、NSGマウスにATL細胞株Su9T01細胞を皮下移植するATLマウスモデルおいても腫瘍増殖抑制効果を認めること、PIM1発現抑制はATL細胞にアポトーシスを誘導することを確認した。ATL細胞に特徴的なスーパーエンハンサー制御遺伝子群である、転写因子IRF4やc-MYB、ATL細胞の生存増殖に重要なNF-kB経路の転写因子RelAは、PIM1発現抑制で蛋白およびmRNAレベルで発現低下することを確認した。さらに、MYBやRELA発現抑制は、ATL細胞にアポトーシスを誘導しながら、PIM1の発現を低下させた。以上の結果から、PIM1はNK-kB経路やc-MYBにより発現制御されながら、NF-kB活性化あるいはATLスーパーエンハンサー制御機構を維持する因子として働いていることが推測された。そこで、PIMキナーゼによるリン酸化修飾の標的蛋白を同定するために、Su9T01細胞にPIM447を処理し、TMT標識/Fe-NTAによるリン酸化ペプチド精製でのプロテオーム解析を行い、AP-1転写因子を構成するJunBの脱リン酸化を同定した。JunBはリン酸化されることで、DNA結合能を高めること、またATL細胞由来の制御性T細胞では、JunBはIRF4と協調的に転写制御を行っていることから、PIM1はJunBのリン酸化を介してATL細胞の遺伝子発現制御機構の一端を担いながら、ATL細胞に特徴的なシグナル伝達経路の活性化や遺伝子発現によりPIM1も発現制御されていることが示唆された。
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[Presentation] Efficacious therapeutic potential of targeting PIM kinases in ATL2021
Author(s)
Oura M, Harada T, Teramachi J, Nakayama A, Oda A, Inoue Y, Sogabe K, Sumitani R, Fujii S, Nakamura S, Miki H, Kagawa K, Hasegawa H, Fujiwara H, Abe M
Organizer
The 83rd Annual Meeting of the Japanese Society of Hematology