2020 Fiscal Year Research-status Report
小児急性骨髄性白血病における全ゲノムDNAメチル化解析による新規予後因子の同定
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20K17414
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Research Institution | Gunma Institute of Public Health and Environmental Sciences |
Principal Investigator |
大和 玄季 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (90825720)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | DNAメチル化 / 小児急性骨髄性白血病 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児急性骨髄性白血病(AML)は分子生物学的異常と治療反応性をもとにして層別化治療が行われ長期生存率は60-70%まで上昇してきたが、その予後は未だ良好とは言えない。次世代シーケンサーを用いたゲノム解析をもってしても小児AML全体の40%近くはまだ予後を層別するバイオマーカーが見つからない状態である。近年、AMLに対してもDNAメチル化が新たなバイオマーカーとして注目され始めている。研究者らは小児AMLにおけるDNAメチル化パターンと臨床像、分子生物学的背景、予後との関係を明らかにすることを目的として、AML-05臨床試験に登録された64例に対してDNAメチル化解析を行う研究計画を立案した。 2020年度はその解析に着手(症例選定、検体準備、サンプリング、DNAメチル化ラン施行、抽出データクリーニングおよび臨床データとの統合解析)し、一部の症例で解析が終了し、現在詳細なデータを解析中である。興味深いことにこれまでの解析結果から、DNAメチル化パターンが小児AMLの分子生物学的背景と相関が強いことなどが確認されている。詳細なデータについては2021年度に開催予定である、第83回日本血液学会学術集会で発表予定であり、既にその抄録は演題登録済みである。今後は64例全例の解析に加え、症例それぞれのメチル化パターンと予後との詳細な解析を行うことで、メチル化パターンが予後予測に有用か等を検討していく。また、単一あるいは数種類のメチル化サイトの高メチル化、あるいは低メチル化などが確認できれば、該当箇所のメチレーションサイトに対してバイサルファイトシーケンスを用いることで、対象症例を拡大して予後に関する検討を行うことも予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示した通り、研究は順調に進んでいると考えられる。 初年度は主に実際のDNAメチル化解析および解析結果から得られたデータと臨床データとの照合を行った。 来年度はDNAメチル化解析研究を継続し、対象64例全例に対するデータを獲得する予定。また、データ解析を進めることで更なる研究結果が得られるかの検討を行い、結果に応じて追加実験、追加解析を行う予定。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで研究計画通り順調に研究、解析は進められてきている。当初の予定から大きく外れるような研究計画の変更や、克服に難渋しているような課題はこれまでにない。来年度更にDNAメチル化解析研究を継続して対象とした64例全例での解析を行う。研究結果の成果については学会発表を予定している。また、DNAメチル化解析から得られた結果とこれまで得られている臨床データおよび分子生物学的異常(遺伝子異常、融合遺伝子異常、遺伝子発現、コピーナンバー異常など)との統合的な解析を進めることで、更なる研究結果が得られるか検討を行う。DNAメチル化パターンによる予後層別化ができるかどうかの検討を進める。また、単一あるいは数種類のメチル化サイトの高メチル化、あるいは低メチル化などが確認できれば、該当箇所のメチレーションサイトに対してバイサルファイトシーケンスを用いることで、対象症例を拡大して予後に関する検討を行うことも予定している。
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Causes of Carryover |
小児急性骨髄性白血病64例を対象として解析を行う上で、まずは初年度16例の解析を行った。この解析結果を検討することで、DNAメチル化解析の研究継続に問題点などないかを確認している。DNAメチル化解析のランは問題なく施行できており、データ解析についても既存の解析プログラムを使用することで問題なく解析できている。解析結果から一定の傾向を見出すこともできている。初回の解析、データ検討に時間を要したため、初年度の支出は予定額より少なかった。解析の系は全て問題ないことがわかったため、2年目以降の解析で当初予定していた研究費を使用する。 上記の理由で次年度使用額が発生している。
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Research Products
(3 results)