2022 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外ヌクレオチド受容体に着目したモデル動物を用いたアレルギー新規治療法の検討
Project/Area Number |
20K17417
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
中野 学 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (10436016)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 好塩基球 / P2Y6受容体 / アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
好塩基球はヒスタミン放出によるアレルギー反応誘導だけでなく、Th2系サイトカインを放出してB細胞のIgE産生やTh2細胞への分化に関与することが報告されている。我々は、細胞外ヌクレオチド受容体であるP2Y6受容体の阻害がヒト好塩基球のIgE依存的活性化を抑制することを明らかにしてきた。 本研究課題はP2Y6受容体阻害剤によるアレルギー反応抑制効果を評価することを目的としている。2022年度は、アレルギーモデルマウスを用いてP2Y6受容体阻害剤のTh2系サイトカイン産生やIgE産生に対する影響を確認した。 はじめにマウス脾細胞中のB細胞およびヘルパーT細胞のP2Y6受容体発現を測定した。次にOVA経皮感作によりIgE産生誘導したBALB/cマウスの脾臓細胞をP2Y6受容体阻害剤と培養し、培養上清中のIgEおよびTh2系サイトカインを測定した。続いてアレルゲン経皮感作時にP2Y6受容体阻害剤を尾静脈投与したBALB/cマウスの血清IgEと、培養した脾臓細胞の培養上清中のTh2系サイトカインを測定した。Th2系サイトカイン産生の確認では、脾臓細胞に活性化刺激を加えた。 ヘルパーT細胞はP2Y6受容体を発現し、活性化刺激した脾臓細胞によるTh2系サイトカイン産生はP2Y6受容体阻害剤により低下した。B細胞はP2Y6受容体が発現していたが、P2Y6受容体阻害による脾臓細胞のIgE産生量に変化は認められたかった。OVA経皮感作によるIgE産生誘導期間にP2Y6受容体阻害剤を投与すると血清IgE量は低下した。また、脾臓細胞によるTh2系サイトカインの産生量はP2Y6受容体阻害剤投与群で低下が確認された。 これらの結果は、P2Y6受容体阻害剤がTh2サイトカイン産生を抑制することでIgE産生量を低下すると示唆する。
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Research Products
(1 results)