2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K17419
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
武藤 智之 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (10868235)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高安動脈炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
TAK(高安動脈炎)は大動脈とその主要分枝を傷害する大型血管炎であり、膜蛋白質として新規自己抗原EPCR(プロテインC受容体)とSR-BI(スカベンジャー受容体クラスBタイプI)を同定し、(1)これら自己抗原のTAK患者の大血管組織における発現解析、(2)In vitroにおける新規自己抗原に対する自己抗体のTAKでの病態形成能におけるシグナル伝達の解明に関する実験を行った。 (1)外科的処置を受けたTAK患者3名の大動脈組織を採取し免疫組織学的染色にて評価した所、大動脈壁の栄養血管であるvasa vasorum周囲に炎症細胞浸潤を認めた。また障害された大動脈血管腔の内皮細胞にEPCRとSR-BIの発現を認めたが、vasa vasorumにおいてより強い発現を認めた。 (2)新規自己抗体の抗炎症作用阻害のシグナル伝達経路を評価するために、HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)をTNF-αで刺激し炎症を惹起した後、EPCRのリガンドであるAPC(活性型プロテインC)またはSR-BIのリガンドであるHDL(高密度リポ蛋白質)を添加しPCRアレイを用いて網羅的に遺伝子発現変化量を検証した結果、HDL添加後はCXCL8の著明な増加とCXCL10の著明な減少を、APC添加後はCCL2の著明な減少を認めた。これらケモカインであるCCL2とCXCL8、CXCL10は各種細胞の遊走に関与する一方、CXCL8は血管新生を誘導するとされ、MAPKシグナル伝達経路が主に関与するとされる。これらの結果により、新規自己抗体はMAPKシグナル伝達経路に作用することで、TAKの慢性炎症を持続させる役割を発揮する可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)