2020 Fiscal Year Research-status Report
口腔内細菌叢とACPA成熟に着目したRA発症機序の解明
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20K17427
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
辻 良香 長崎大学, 病院(医学系), 医員 (10866297)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / 口腔内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】関節リウマチ(以下,RA)は発症前より抗CCP抗体(以下,ACPA)が産生され発症に寄与する.口腔内もACPA産生臓器の一つであることから口腔内細菌叢も注目されている.現在,長崎大学病院 リウマチ・膠原病内科で介入継続中の住民健康診査(以下,住民健診)受診者より唾液を採取し,RAの有無,抗CCP抗体の有無口腔内細菌叢の解析を行い,ACPA産生に寄与する環境要因(口腔内細菌叢のディスバイオシス,歯周病,喫煙,HTLV-1感染)を検討する. 【方法】対象は長崎大学の動脈硬化,歯科およびリウマチ健診に協力の同意が得られた健診受診者から唾液・血液を採取し,16SrRNAの塩基配列によるOTU解析を行った.喫煙の有無に関する問診,ドライマウスの有無,ACPA値,抗HTLV-1抗体,HLAの測定も行った.研究対象者ごとの検体内のアルファ多様性について,ACPA陽性・陰性,およびRAの有無のそれぞれについて,群間の差をWilcoxon検定で検定した. 【結果】2016年から2018年の間に1385名から検体を採取した.解析対象は322名であり,女性191例(61%),ACPA陽性42例,RA34例.ACPA陽性・陰性の群間差は検出されなかった.RAの有無では有意差を認めた(p<0.05). ACPA陽性RAにおいてNeisseriaceae属,Porphyromonadaceae属の増加が見られた。 【結論】有意な菌がACPA産生やRA発症にどのように寄与するか考察する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健診データを用いて,ACPA陽性RA患者における口腔内細菌叢の多様性の相違を認めた.ACPA陽性健常者においても多様性の変化を認め,Porphyromonadaceae属,Pasteurellaceae属の増加を認め,既報からACPA産生に寄与することがうかがえる結果であった.
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Strategy for Future Research Activity |
ACPA陽性RA患者を長崎大学病院で症例登録を行いRA患者の症例数を増やす.また2021年度は五島市での健康診断を実施予定である.上記から得られた血液検体と唾液検体からDNA抽出を行い,HLAの測定や口腔内細菌叢の16srRNA解析を行う予定である.
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Causes of Carryover |
2020年度はCOVID-19の影響により予定していた五島市の健康診断を実施することができなかったため,血液・唾液のDNA抽出,HLA測定,口腔内細菌叢の16srRNA解析などに関する経費が発生しなかった。そのため,次年度使用額は2021年度に実施できなかった健康診断と各解析等に使用予定である.
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