2022 Fiscal Year Annual Research Report
口腔内細菌叢とACPA成熟に着目したRA発症機序の解明
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20K17427
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
辻 良香 長崎大学, 病院(医学系), 助手 (10866297)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 抗CCP抗体 / 口腔内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年から2018年にNaISで収集した1296例を対象とした. 抗環状シトルリン化ペプチド抗体(cyclic citrullinated peptide: ACPA) 、ヒト白血球抗原(Human Leukocyte Antigen: HLA) ジェノタイプ, 口腔内細菌叢の多様性、生活習慣を調査した。細菌叢は次世代シーケンサー(Ion PGM)を用いて16SrRNA 解析を行った。細菌叢種組成のサンプル間の類似度をBray-Curtis距離を尺度として算出し、群間差をPERMANOVAで検定した。存在量に群間差のある菌種をUniFrac距離のp値を用いて検出した(いずれも有意水準:0.05)。関節リウマチ患者12例(ACPA陽性 8例、ACPA陰性 4例)、健常者1284例(ACPA陽性 20例、ACPA陰性 1264例 )であった。健常者をACPA陽性/陰性で層別化し、α多様性(Shannonインデックス)を比較したが差を認めなかった。次にβ多様性をPERMANOVA解析でクラスター分類を行った。ACPA陽性クラスターではACPA陰性クラスターに比較してPasteurellaceaeが優位であり、Neisseriaceae とStreptcoccaceae の減少を認めた。Pasteurellaceaeのうち、Aggregatibacter actinomycetemcomitansは、孔形成毒素であるleukotoxin A(LtxA)を介してシトルリン化を誘発する。関節リウマチにおける抗LtxA抗体陽性は、ACPAの存在と有意に関連することが報告されている。Pasteurellaceaeが健常者におけるACPA産生に寄与している可能性が示唆された。Neisseriaceae は関節リウマチ患者において減少しており、その存在量は血清ACPAレベルと負の相関があることが報告されている。Neisseriaceaeは歯周病の軽症群に多く検出される。未治療の関節リウマチ患者では歯周病の合併率が高いとされている。今回の研究ではACPA陽性者では歯周病が重症化しているため、Neisseriaceaeが減少している可能性があると示唆された。
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