2021 Fiscal Year Research-status Report
Adaptation of therapeutic agents for Th1 cell dependent severe asthma using asthmatic murine model
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20K17436
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Research Institution | Clinical Research Center for Allergy and Rheumatology, National Hospital Organization, Sagamihara National Hospital |
Principal Investigator |
神山 智 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 先端技術開発研究部, 研究員 (20626783)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
先年の研究において、高レベルのステロイド抵抗性(IC50>1μM)を示すT細胞クローンとして選出された4系統クローンが、いずれもIFN-γ産生性であることを明らかにし、これらをステロイド抵抗性Th1細胞クローン系統として分類した。また、細胞の培養と継代における性状の観察および細胞増殖試験から、3週間以上の長期に渡り抗原刺激およびIL-2添加を必要とせずに生存し続けることが明らかになった。通常、T細胞クローンは継代において培地にIL-2を添加しなければ細胞の分裂増殖能の維持が困難で、短期間で死滅へ向かう。このことからTh1細胞クローン系統がIL-2非依存的に長期間に渡り生存し、さらに細胞増殖能を維持し続ける長寿性を持つことを明らかにした。これらのステロイド抵抗性Th1細胞クローン系統は、抗原刺激よりおよそ2週間でIFN-γ産生を停止し、サイトカインレベルでレストした状態にも拘らず、細胞増殖能では3週間以降も抗原刺激直後と同等の増殖活性を示した。一方で、細胞内シグナル伝達における特定のキナーゼ経路を阻害することで、細胞増殖活性とサイトカイン産生が抑制された。 本年は、グルココルチコイドに感受性を示すT細胞クローン系統より、抵抗性を示すクローン系統の作出・選抜を試みた。これまでのT細胞クローンの特性解析によって、7種類のT細胞クローンがステロイド感受性を示すことを確認した。これらのクローンは1系統を除いて、IFN-γ非産生性かつIL-4、IL-5、IL-13産生性の性質を示すことからTh2クローンとして分類した。マウス脾臓由来抗原提示細胞(APC)による抗原刺激時に、任意の濃度のデキサメタゾンを添加して培養した。デキサメタゾン添加により細胞の多くは死滅するが、生存した一部の細胞を選抜し、IL-2添加培地で増殖させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨今の国内および海外における新型コロナ感染対策に伴う製造業および物流への影響から、液体培地や滅菌ディスポーザブル器具の生産・流通停止のあおりを受けたものの、代替品の検討、生産の一部回復とともに状況を乗り越えつつある。また、当研究機関の動物実験施設について、老朽化に伴う設備の更新停止により、予定していた動物実験の遂行が困難になったが、協力関係の大学での実験環境を構築しつつある。予測外の事態が重なったが、鋭意実験を継続している。 本年の作業の進捗について述べる。現在、ステロイド感受性T細胞クローンより抵抗性クローンの作出・選抜を継続している。デキサメタゾン存在下での抗原刺激と継代を繰り返し、生存した細胞株を抵抗性株候補として選出した。抵抗性株候補をAPCまたは抗CD3抗体により活性化し、デキサメタゾン感受性を試験した。臭化ウリジン(BrdU)細胞増殖アッセイにおいて、選抜前よりもステロイド抵抗性の向上が示唆されるクローン株が出現した。ただし、ELISA法サイトカインアッセイにおいて、IL-4、IL-5、IL-13産生の抑制を確認している。クローンの性状はステロイド抵抗性Th1と異なり、強いIL-2依存性と比較的短い細胞寿命を示していることから、ステロイド抵抗性の系統樹立の途上であるか、根本的なステロイド抵抗性機序の違いについて検証することを検討している。Th2クローンのステロイド選抜を継続するとともに、選抜前後の性状の違いについて、分子標的治療薬による抑制効果を含め、詳細な解析を行っている。また、現在さらにステロイド選抜を進めたステロイド抵抗性Th1細胞クローンおよび感受性Th2細胞クローンの細胞培養上清について、培養平滑筋細胞を用いたin vitro収縮実験を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスT細胞クローン系統のTh1/Th2タイプの違いは、同時にステロイド抵抗性/感受性、遅発型喘息誘発性/不顕性、好中球浸潤優位/好酸球浸潤優位の性状の差異を示す。しかし、この内ステロイド抵抗性について、選抜によるcell typeの変更が生起する場合、他の性状についてどのように関与するか未知である。Th1とTh2でステロイド抵抗性の機序が根源的に異なる可能性も考えうる。両者を比較する上で、ステロイド抵抗性Th2の系統樹立は重要な知見をもたらすことが期待できる。引き続き、ステロイド感受性Th2クローンよりステロイド耐性株の選抜を模索する。 また、ステロイド抵抗性Th1クローンにおいて、in vitroの高用量デキサメタゾンがIFN-γ産生を低下させたにもかかわらず、細胞増殖に影響をもたらさなかった。同じTh1クローンが細胞増殖とサイトカイン産生共にステロイドによる抑制を受ける感受性タイプへ切り替わる所見を得ているが、IL-2非依存性的な細胞増殖の亢進とステロイド抵抗性は未解明である。これらの性状について詳細な情報の蓄積を継続する。また、計画通りステロイド抵抗性Th1クローンにおいて、分子標的治療薬の適応とともに抵抗性の機序の解明に迫る。
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Causes of Carryover |
培地や実験器具の欠品が長期に渡り、当初の想定より購入品目が減少した。また、動物実験について、当初予定されていた試験数を満たさなかったため、実験動物及び治療薬の購入分減少した。
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[Presentation] Molecular characterization of bronchoconstriction induced by activated T cells2021
Author(s)
Kouyama, S., Yamaguchi, M., Kumitani, C., Ohtomo-Abe, A., Kawasaki, Y., Iwamoto, K., Yano, K., Iwata, M., Nagayama, K., Ryu, K., Nakamura, Y., Hamada, Y., Watai, K., Kamide, Y., Sekiya, K., Fukutomi Y, Ohtomo, T., Kaminuma, O, and Mori, A.
Organizer
European Respiratory Society 2021 International Congress (London, on line)
Int'l Joint Research
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[Presentation] Possible mechanisms of T cell-induced bronchoconstriction2021
Author(s)
Mori, A., Kouyama, S., Ohtomo-Abe, A., Ryu, K., Nakamura, Y., Hamada, Y., Watai, K., Kamide, Y., Sekiya, K., Ohtomo, T., Kaminuma, O.
Organizer
Asia Pacific Association of Allergy, Asthma and Clinical Immunology International Conference 2021 (Taipei, on line)
Int'l Joint Research
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[Presentation] Pharmacological characterization of T cell-induced bronchoconstriction in vivo and in vitro2021
Author(s)
Mori, A., Kouyama, S., Yamaguchi, Y., Kumitani, C., Ohtomo-Abe, A., Kawasaki, Y., Iwamoto, K., Yano, K., Iwata, M., Nagayama, K., Ryu, K., Nakamura, Y., Hamada, Y., Watai, K., Kamide, Y., Sekiya, K., Fukutomi, Y., Ohtomo, T., and Kaminuma, O
Organizer
European Academy of Allergy and Clinical Immunology Hybrid Congress 2021 (Madrid 8211; Krakow, on line)
Int'l Joint Research