2021 Fiscal Year Annual Research Report
全身性エリテマトーデスでの好中球が与える他の免疫細胞の質的変化に関する機序の検討
Project/Area Number |
20K17439
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
花田 徳大 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90868564)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / 好中球 / 単球 |
Outline of Annual Research Achievements |
全身性エリテマトーデス (systemic lupus erythematosus; SLE) の治療薬として、より副作用の少ない、疾患特異的な新規治療薬剤の開発が求められている。申請者は、SLEの新規治療標的として好中球などの自然免疫系にかかわる免疫細胞に注目し、好中球が他の免疫細胞へ与える影響という観点から治療標的の検討を行った。 SLEにおいて好中球細胞外トラップ (NETs) 形成の重要性が報告されているものの、末梢血でNETsが増加している患者群の特徴は明らかではなかった。そこで、まずはSLE患者血清中のNETsを測定し、血清NETs高値の患者は抗二本鎖DNA抗体低値で末梢血単球数、CRPが上昇していることを同定した。次に、好中球が他の免疫細胞へ与える影響を調べるため、血清NETs高値の患者で末梢血単球数が増加していたことに注目し、好中球が単球へ与える影響に関して検討した。NETsを含む免疫複合体で単球を刺激すると単球が活性化することをフローサイトメーターを用いて確認し、今回同定した血清NETsが増加しているSLE患者群において単球活性化がCRP上昇で特徴づけられる炎症と関連していることが示唆された。 SLEは遺伝学的にも臨床的にも非常に多様な集団であることが知られており、それぞれの患者への最適な医療を行うためには患者層別化が必要である。本研究において、SLE患者において血清NETs高値で炎症反応高値の新規亜集団が同定でき、同患者群に対する単球活性化に関連した炎症機序に主眼をおいた治療を優先するなど今後の治療戦略決定に役立つ可能性がある。得られた結果をまとめた論文を現在投稿中である。
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