2021 Fiscal Year Research-status Report
皮膚筋炎の早期標的臓器である筋膜における神経・免疫連関の解明
Project/Area Number |
20K17455
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
大藤 洋介 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (00828155)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 筋膜炎 / en bloc biopsy |
Outline of Annual Research Achievements |
「皮膚筋炎の筋膜炎における神経系の役割を明らかにすること」を目的として以下の研究を行った. ①免疫組織染色による患者の筋膜における神経ペプチドおよびその受容体の解析 新規に診断された,皮膚筋炎患者1名,多発性筋炎患者の1名の合計2症例に対し,両上腕および大腿のMRIを施行した.STIRもしくは造影T1強調画像で上腕二頭筋あるいは上腕三頭筋において高信号を呈している部分から,en bloc biopsy法により皮下組織,筋膜,筋肉を一塊に採取した.得られた検体をホルマリン固定し,病理学的に解析した.いずれの症例も筋および筋膜への炎症細胞浸潤に乏しく,壊死再生像がみられた.これらの検体に対し,神経ペプチドであるcalcitonin gene-related peptide(CGRP)およびsubstance P(SP)の局在を明らかにする目的で,抗CGRP抗体,抗SP抗体による免疫組織化学染色を施行した.現在,筋膜病変の変化の定量化に向け,最適な免疫染色プロトコールを検討している.
②筋骨格系MRIによる筋膜病変/筋肉内病変の解析 抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎は筋症状に乏しいことで知られる.筋骨格系MRIにより抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎29例の筋膜病変および筋肉内病変の有無を解析したことろ,58%の患者で筋膜病変を認めた.画像的に筋肉内病変を有するグループと,筋膜病変のみもしくは筋病変を有さないグループを比較したところ,前者のグループでは間質性肺炎の程度が有意に軽く,致死率も低かった.筋膜病変/筋肉病変の有無が疾患の進行や予後に影響している可能性が示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
筋生検検体の収集は定期的に行っているが,免疫組織化学染色の最適化の確立が滞っている.プロトコール確立後は,神経ペプチドおよびその受容体の分布の解析を速やかに進める.
|
Strategy for Future Research Activity |
en bloc biopsy法による筋生検はその病態の解析に有用な手段ではあるが,侵襲を伴う検査であり,患者の全身状態が不良である場合や同意が得られない場合には施行できない.一方筋骨格系MRIは,侵襲を伴わずに筋膜病変の評価が可能である.そこで,en bloc biopsy法による筋生検と並行して,筋骨格系MRIによる筋膜病変の画像的評価を行い,皮膚筋炎の筋膜病変が疾患の発症や進行にどのように関わってるかを解析する.
|
Causes of Carryover |
免疫染色の最適プロトコール検討中であり,免疫染色のための抗体の発注を今年度行うことができなかったため.また,コロナ禍により学会発表も行うことができなかった.
|