2020 Fiscal Year Research-status Report
PDEに注目した強皮症の病態解明と新規治療法の開発
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20K17456
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
樋口 智昭 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80836966)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 強皮症 |
Outline of Annual Research Achievements |
強皮症皮膚線維芽細胞に対しPDE4阻害薬を添加したところ、各種線維化マーカー(COL1A1, COL1A2, CTGF, ACTA2)の発現が抑制され、また、同様の効果をタンパクレベルでも示すことができた。ついで、強皮症モデルマウスに対しPDE4阻害薬を投与したところ、皮膚硬化の改善を認めた。さらに、PDE4阻害薬の炎症・免疫に与える影響について、強皮症モデルマウスから採取した皮膚切片を免疫染色して検討したところ、CD3陽性細胞数がコントロール群と比べて減少することがわかった。これらの事実から、PDE阻害薬が強皮症病態の皮膚線維化と炎症・免疫異常を改善する可能性が示唆され、成果を第63回日本リウマチ学会総会で発表した。今回使用したPDE4阻害薬であるアプレミラストは、わずかではあるがPDE7も阻害することが報告されている。そこで、同様の実験をPDE7阻害薬であるBRL-50481を用いて行った。強皮症皮膚線維芽細胞及びTGF-β1で刺激した正常皮膚線維芽細胞に対しBRL-50481を添加したが、残念ながら線維化マーカーの発現抑制は認められなかった。理由の一つとして、強皮症皮膚線維芽細胞でのPDE7発現が弱い可能性が考えられた。現在は、他のPDE サブタイプについても検討を続けている。また、PDE4阻害によるcAMP上昇の結果生じる、下流シグナルに対する影響や、転写因子活性化などについても検討を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PDE4以外のPDEサブタイプの解析がやや遅れているが、概ね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きPDEサブタイプの皮膚線維芽細胞における発現や、その阻害薬の効果について解析を続け、良好な結果が得られた場合には強皮症モデルマウスを用いた検討を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染蔓延の影響で学会参加などが制限されたことや、一部試薬の発注などが遅れたことが影響した。次年度の学会参加・試薬購入などに充当する予定である。
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[Presentation] 樋口智昭, 田中榮一, 井上永介, 阿部麻衣, 阪久美子, 菅野瑛梨, 杉谷直大, 樋口陽子, 落合萌子,山口麗, 杉本直樹, 猪狩勝則, 中島亜矢子, 谷口敦夫, 山中寿, 針谷正祥2020
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