2020 Fiscal Year Research-status Report
Novel crosstalk between host and bacteria: Elucidation of antibiotic resistance mechanisms in bacteria induced by noradrenaline
Project/Area Number |
20K17473
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
稲葉 正人 藤田医科大学, 医学部, 講師 (10836050)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 宿主ストレスホルモン / カルバペネム耐性腸内細菌科細菌 / 細菌の増殖速度 / バイオフィルム産生量 |
Outline of Annual Research Achievements |
宿主ストレスホルモンであるノルアドレナリン(NA)とカルバペネム耐性腸内細菌科細菌の相互作用を検討するため,当該年度では以下の2点の解析を行なった。 第1に、自施設に保存しているカルバペネム耐性腸内細菌科細菌の臨床分離株(Enterobacter cloacae complex) 80株を用いてMLST( Multi locus sequencing typing)解析をし、クローンの同定を行なった。sequence type (ST)はSequence type(ST)78が39株、ST133が24株、ST25が3株、ST252が3株であった。 第2に、代表的なクローンであったST78とST133のEnterobacter cloacae complex(Enterobacter hormaechei) およびATCC株(Enterobacter hormaechei ATCC49162)を用いて、10 μMのNAが存在する場合としない場合で、細菌の増殖とバイオフィルム産生量がどのように変化するかを解析した。増殖については、18時間培養後に細菌数をカウントすることにより評価した。バイオフィルム産生量については、96wellの平底プレートを用いて48時間培養したのち、菌液を除いて0.1% クリスタルバイオレットで30分間染色したのち、クリスタルバイオレットを取り除き、95%エタノール200μlで溶解し、Microplate Readerを用いてOD570の吸光度を測定し評価した。なおいずれの検討も各菌株ごとに3検体準備し、それぞれ独立して3回解析を行なった。 結果は、いずれの菌株においてもNA存在下では18時後の細菌数が10~100倍多くなり、またバイオフィルム産生量も3~5倍上昇した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度の研究計画では、1) MLST 法によるクローンの同定、2) 微量液体希釈法による各抗菌薬の最小発育阻止濃度の測定、3) 各抗菌薬のTime-kill curve の作成の3点を行う予定であった。自施設に保存しているカルバペネム耐性腸内細菌科細菌の臨床分離株(Enterobacter cloacae complex 80株)を用いて、MLST( Multi locus sequencing typing)解析を行い、クローンの同定を行なうことができたが、2)と3)ついては、世界的な新型コロナウイルス感染症の流行の影響を受け、試薬や機材の搬入が大幅に遅れ、計画通りには施行することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、まず2020年度に予定していた「ノルアドレナリン(NA)存在下におけるカルバペネム耐性腸内細菌科細菌の各抗菌薬の最小発育阻止濃度の変化の解析」と「NA存在下と非存在下における各抗菌薬のTime-kill curve の作成」を行う予定である。その後、3つの条件((1)NAと抗菌活性が低下した抗菌薬を培養液に添加、(2)抗菌活性が低下した抗菌薬のみを培養液に添加、(3)何も培養液に添加しない)でカルバペネム耐性腸内細菌科細菌の各クローンを培養したのち、各菌株のmRNA発現量をRNAシーケンス(RNA-Seq)で網羅的に解析し、RNA-Seq解析でNAによりmRNA発現の変化を認めた遺伝子について、さらにリアルタイムPCR法で定量解析し、コントロールと比較して有意に変化しているかを確認する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、計画通りに物品の購入ができず、予定通りに研究が進まなかったため。
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