生ワクチン開発に資するSFTSVの弱毒化機構の遺伝子レベルでの解明

2021 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 20K17478
• Research Institution: National Institute of Infectious Diseases
• Principal Investigator: 朴 ウンシル 国立感染症研究所, 獣医科学部, 主任研究官 (90750117)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: SFTSV / Reverse genetics / 弱毒株 / M分節

Outline of Annual Research Achievements

Severe fever with thrombocytopenia syndrome(SFTS)はSFTSウイルス(SFTSV)によるダニ媒介性及び人獣共通感染症であり、中国、日本、韓国、タイ、ベトナム、台湾等東アジア国において発生が報告されている。今までの研究で猫及びIFNAR1遺伝子欠損(IFNAR1-/-)マウスの感染実験を通じて、SFTS発症猫から分離されたCat#1株とSFTSヒト患者からSPL010株で病原性の相違を明白にした。しかし、病原性に関わる機構はまだ分かっておらず、本研究を通じて、その原因遺伝子を解明し、弱毒化のメカニズムを解明することを目的とした。
昨年度までは弱毒株であるCat#1のS, M, L分節及び強毒株であるSPL010のS, M, L分節のゲノムRNAを発現するプラスミドを作製した。そこで、本年度は作製できたプラスミドを用いて、reverse geneticsによりCat#1株とSPL010株のS, M, L分節から構成される8種類のキメラウイルス(rgSFTSV)を作製した。8種類のrgSFTSVをIFNAR1-/-マウスに感染させた結果、分離されたCat#1株を含め、rgCat#1及びCat#1株由来のM分節を持つrgSFTSV(SCS)の感染IFNAR-/-マウスは100%の生存率を示した。SPL010株を含め、rgSPL010及びSPL010株由来のM分節を持つrgSFTSV(CSC)の感染IFNAR1-/-マウスは0%の生存率を示した。この結果からCat#1株とSPL010株の病原性の相違にはM分節が関与していることが示唆された。二つの株のM分節には18ヵ所アミノ酸が異なり、Cat#1株の18ヵ所アミノ酸をそれぞれSPL010株へ置換したrgSFTSVを作製した。現在、感染実験を通じて、原因遺伝子を解明する予定である。