2020 Fiscal Year Research-status Report
肝プロスタシンを起点とした個体レベルにおける新たな糖・脂質代謝調節機構の解明
Project/Area Number |
20K17487
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
関根 哲生 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (70835975)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プロスタシン / セリンプロテアーゼ / 糖尿病 / 脂肪肝 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては、(1)肝PRSS8の新規基質候補蛋白の探索を目的として、テトラサイクリン(Tc)発現誘導システムを用いて、Tc添加によりPRSS8の発現誘導が可能なTet-on HepG2細胞株を樹立した。Stable Isotope Labeling using Amin Acids in Cell Culture法によるPRSS8基質蛋白の網羅的解析にTet-on HepG2細胞を供したが、新規基質蛋白の候補の同定には至らなかった。しかし、後述するin vivoによる検討の結果と文献的検索から複数個の候補蛋白を見出した。(2)in vitroにおける肝PRSS8の糖・脂質代謝調節機構の解明を目的として、Tet-on HepG2細胞に遊離脂肪酸添加し、Oil Red O染色を行い、染色陽性面積比で脂質代謝を評価することとした。Tc添加によりPRSS8の発現を誘導することにより、Tc未添加と比較して、Oil Red O染色陽性面積比が有意に低下することを見出した。(3)in vivoにおける糖・脂質代謝の表現型解析を目的として、肝細胞特異的PRSS8過剰発現(LTg)マウスを作成し、表現型の解析を行った。高脂肪食給餌下のLTgマウスは野生型マウスと比較して、体重変化を認めなかったが、空腹時血糖、糖負荷試験及びピルビン酸負荷試験において、耐糖能と糖新生が有意に改善していることが示され、肝組織のウェスタンブロットにおいてリン酸化Aktが増加していた。また、LTgマウスはWTマウスと比較して、血清コレステロール値と血清遊離脂肪酸値が低下し、肝組織のヘマトキシリン・エオジン染色において脂肪肝の改善を認め、肝中性脂肪量も定量的に低下しており、糖・脂質代謝共に高脂肪食給餌下において、WTマウスと比較して、LTgマウスの改善を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)肝プロスタシン(PRSS8)の新規基質候補蛋白の探索について、当初予定していたStable Isotope Labeling using Amin Acids in Cell Culture法による新規基質候補蛋白の同定には至らなかったが、後述する(3)のin vivoによる検討が順調に進んだことで、文献的検索を併用することにより、複数個の候補蛋白を同定することができ、研究計画を達成した。(2)in vitroにおける肝PRSS8の糖・脂質代謝調節機構の解明について、テトラサイクリン(Tc)発現誘導システムを用いて、Tc添加によりPRSS8の発現誘導が可能なTet-on HepG2細胞株を樹立し、脂質代謝を評価する実験系を確立し、肝PRSS8発現増加による影響の検討が終了し、概ね研究計画を達成した。(3)in vivoにおける糖・脂質代謝の表現型解析について、肝細胞特異的PRSS8過剰発現(LTg)マウスを作成し、糖・脂質代謝の解析を終了した。初代培養肝細胞を用いた解析についても着手しており、概ね研究計画を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)肝プロスタシン(PRSS8)の新規基質候補蛋白の探索について、当初の計画とは異なったが、候補蛋白を複数同定し得たので、検討は一旦終了とする。(2)in vitroにおける肝PRSS8の糖・脂質代謝調節機構の解明について、テトラサイクリン発現誘導システムを用いて、Tc添加によりPRSS8の発現誘導が可能なTet-on HepG2細胞株を用いて、(1)で同定した候補蛋白とその下流シグナルの蛋白と遺伝子発現を検討すると共に、候補蛋白の肝PRSS8切断予測部位に変異を導入したplasmidの作成とTet-on HepG2細胞への導入を行い、肝PRSS8の直接作用を検討する。(3)in vivoにおける糖・脂質代謝の表現型解析について、初代培養肝細胞を用いて、(1)で同定した候補蛋白とその下流シグナルの蛋白と遺伝子発現を検討する。また、(2)で肝PRSS8の直接作用が示された候補蛋白の肝PRSS8切断予測部位に変異を導入したplasmidを肝細胞特異的PRSS8過剰発現(LTg)マウスにノックインし、LTgマウスの表現型の変化を確認する。
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Research Products
(1 results)