2021 Fiscal Year Annual Research Report
肝プロスタシンを起点とした個体レベルにおける新たな糖・脂質代謝調節機構の解明
Project/Area Number |
20K17487
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
関根 哲生 山梨大学, 大学院総合研究部, 臨床助教 (70835975)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プロスタシン / セリンプロテアーゼ / 糖尿病 / 脂肪肝 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては、(1)肝細胞特異的プロスタシン(PRSS8)過剰発現(LTg)マウスの解析から得られた知見を基に、文献的検索を併用することで、肝PRSS8の基質蛋白の候補としてメタロプロテアーゼ(MMP)14に着目した。(2)テトラサイクリン(Tc)発現誘導システムを用いて、Tc添加によりPRSS8の発現誘導が可能なTet-on HepG2細胞株を用いて、in vitroにおいてPRSS8とMMP14との相互作用について解明を試みた。PRSS8過剰発現によりMMP14の活性化が亢進することを示した。またMMP14はインテグリンベータ(ITGB)1の発現を正に制御し、ITGB1は上皮成長因子受容体(EGFR)のリン酸化を亢進、最終的に分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(ERK)のリン酸化を亢進させることが知られているが、本実験系においても同様の知見が得られた。(3)前述したカスケードについてin vivoにおいても同様の結果が得られるか検証するため、LTgマウスで解析を行ったところ、in vitroにおける結果と矛盾ない結果が得られた。また、肝細胞特異的PRSS8ノックアウト(LKO)マウスを用いても同様の検討行ったところ、LTgマウス、Tet-on HepG2細胞における検討と逆の結果が得られた。以上より、MMP14-ITGB1-EGFR-ERKのカスケードにPRSS8がクロストークしている可能性が示唆された。ERKは肝脂肪蓄積の改善やインスリン感受性改善に関与していることが報告されており、上記の結果はPRSS8が糖・脂質代謝調節に関与していることを示唆する知見と考えられた。
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Research Products
(1 results)