2020 Fiscal Year Research-status Report
新規バイオアッセイ法を用いたグルカゴン及びグルカゴン関連ペプチドの生理活性の評価
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20K17488
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
柳町 剛司 滋賀医科大学, 医学部, 特任助教 (20596275)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | グルカゴン |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はグルカゴンがDPP-4及びNeprilycin(NEP)によって不活化され、それぞれの阻害薬を添加することで不活化が抑制されることを既に確認しているが、グルカゴンの不活化、特にNEPによって切断される部位等、不活化の過程についてはこれまでほとんど検証されていない。そこでグルカゴンがNEPによって分解され、その結果不活化しているか確認するためにHPLCを行った。HPLCでNEP添加によってグルカゴンのピークは移動しており、分解産物と考えられる主なピークが2か所確認できたことから、グルカゴンはNEPの基質として少なくとも2か所切断される部分があり、NEPに分解され不活化されていることが確認できた。 続いてin vivoにおいてDPP-4及びNEPがグルカゴンの代謝に及ぼす影響を検討するため、DPP-4欠損ラット(F344/DuCrlCrlj)を用いて検討した。対照群(F344/Jcl)及びDPP-4欠損群にグルカゴンを投与し、経時的に採血した血液サンプルの血中濃度を測定した。対照群及びDPP-4欠損群共にグルカゴン投与後3分でグルカゴン血中濃度のピークを認め、DPP-4欠損群のグルカゴン血中濃度は対照群と比較し、有意な上昇を認めた。更にグルカゴンに加えNEP阻害薬を投与した。NEP阻害薬非投与時と同様、グルカゴン投与後3分でピークを認めたが、対照群、DPP-4欠損群共にNEP阻害薬非投与時と比べ、グルカゴンの血中濃度の有意な上昇を認めた。これらより、外因性に投与したグルカゴンに対して、DPP-4及びNEPがin vitroのみならず、in vivoにおいてもグルカゴンの分解に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
グルカゴン及びNEP阻害薬の安定した投与方法を確立するため時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
グルカゴン及びオキシントモジュリンの分解産物をLC-MS/MSで確認する予定であるが、申請者が所属している施設ではLC-MS/MSは施行できないため、他施設と交渉中。 外因性のグルカゴンに対するDPP-4、NEPの作用は確認できたが、今後内因性に分泌されたグルカゴンについてDPP-4、NEPが及ぼす作用を検討する予定である。
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