2020 Fiscal Year Research-status Report
膵β細胞における炭酸脱水酵素8 (Car8)によるインスリン分泌制御機構の解明
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20K17489
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
臼井 亮太 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (40850996)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カルシウム / インスリン / インクレチン |
Outline of Annual Research Achievements |
膵β細胞株であるMIN6細胞においてCar8をsiRNAにてノックダウンしたがグルコース応答性インスリン分泌、及び脂肪酸によるインスリン分泌増強作用に変化は認めなかった。またMIN6細胞における蛋白レベルでのCar8発現量は非常に低い一方、単離膵島では発現が認められれ肝細胞では高発現していた。 またCar8欠損マウスに対する脂肪酸負荷試験を行ったところGLP-1分泌は亢進していること、さらに腸管内分泌細胞であるSTC-1細胞においてCar8をノックダウンすると脂肪酸添加による細胞内カルシウム上昇、及びGLP-1分泌が亢進している結果からCar8は脂肪酸によるGLP-1分泌を負に制御していることが明らかになり、学術誌に報告した。 さらにCar8欠損マウスでは腹腔内ブドウ糖負荷試験における耐糖能の改善が認められる一方、インスリン分泌は差を認めなかった。このことからインスリン感受性という観点から肝細胞にCar8欠損が何らかの影響を与えている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MIN6細胞においてCar8はmRNAレベルでは発現が確認されているが、蛋白レベルでは発現量が非常に少なかったため、別の細胞株で検討中であり培養細胞での実験が遅れている。 また新型コロナウイルス感染症の影響で動物施設の利用制限があったためCar8欠損マウスでの検討も十分には進んでいない現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはMIN6以外の膵β細胞株であるINS-1などを用いた培養細胞の実験に加えて、単離膵島においてインスリン分泌実験を行う予定である。 また、Car8欠損マウスでは腹腔内ブドウ糖負荷試験における耐糖能の改善が認められる一方、インスリン分泌は差を認めなかったこと、肝細胞においてCar8が高発現していること、さらにIP3シグナルが肝細胞における糖新生に重要な役割を担っているという既報を踏まえて、Car8欠損が肝細胞における糖新生、ひいては糖代謝に何らかの影響を与えている可能性を考慮し、肝細胞における糖新生、グリコーゲンコンテントなどを測定するなど肝細胞の実験も進めていく予定である。
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