2020 Fiscal Year Research-status Report
ネグレクトに対するニューロエストロゲンの作用と分子メカニズム解明
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20K17502
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
林 孝典 藤田医科大学, 医学部, 講師 (40724315)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ニューロエストロゲン / 母性 / アロマターゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
ニューロエストロゲンは,受容体である細胞膜結合型ERや小胞体局在GPR30などを介して細胞内シグナルを惹起する可能性がある。これを介して,授乳や仔の匂いの様な外部刺激に対してニューロエストロゲンの生合成やシグナルが即座に応答していると考えられる。そこで本研究ではまず,子育ての行動解析法であるRetrievingを実施してニューロエストロゲンが子育てに対してどの程度影響を与えるのかを検討した。 脳特異的プロモーター下流にヒトアロマターゼcDNAを連結したトランスジーンを持つ神経特異的トランスジェニックマウス(Neu-TG:ニューロエストロゲン過剰),やアロマターゼノックアウト(ArKO)など,一連のモデルマウスを作製し,Retrievingを実施した結果,ニューロエストロゲン高発現マウスでは仔集め行動が増加することや,ArKOでは子育て行動が抑制されることが明らかになった。さらに,培養細胞を用いた検討ではニューロエストロゲンがオキシトシン分泌を促進する傾向もみられ,マウスを用いた検討結果を後押しするものであった。これらのことから,母性形成や養育行動の向上にニューロエストロゲンが深く関与していると考えられる。 今後,養育(神経)シグナルに対する仔からの影響(鳴き声や匂い)といった外部刺激に対する応答メカニズムとニューロエストロゲンの関係を明らかにするため,母獣の脳組織を採取してスライス培養にてニューロエストロゲンの有無がシグナル伝達経路の活性化に与える影響を明らかにする。解析にはRNAseqやメタボローム解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデルマウスを用いた検討結果は仮説を証明するにあたり,非常に有益な結果であった。一方でFlox-ArKOの作製が少し遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
モデルマウスの作製を精力的に実施する。
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Causes of Carryover |
脳組織中のaromatase局在を確認する予定だったが,少し遅れている。本実験は5月中には終了する予定になっている。
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