2021 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋代謝を調節する遺伝子発現制御ネットワークの解明:運動模倣薬実現に向けて
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20K17509
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
細川 元靖 京都大学, 医学研究科, 助教 (60812683)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨格筋代謝 / 遺伝子発現制御 / 運動 / RNA代謝 / 運動模倣薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は骨格筋での代謝変化を転写・転写後制御レベルで包括的に理解することで、骨格筋代謝活性化の新たな制御機構を解明するために行っている。そのために、①運動:運動は骨格代謝が大きく変化すると言われていて、糖代謝から脂質代謝への変化があることも知られている。そこで、2020年度に行っていたトレッドミルを用いた運動の強度やタイムコースなどの条件検討を元にRNA-seqを実施した。②Cold exposure:2020年度に計画に加えた、過去に骨格筋の代謝を変化させると報告のある4℃にマウスを放置する「Cold exposure」の条件検討も終了し、RNA-seqを実施した。これら2つに加え、2020年度に実施した ③高脂肪食投与(食事による代謝変化):食事においても骨格筋代謝は変化すると報告がある。しかし、高脂肪食(HFD)の投与だけでは、遺伝子発現変化が小さく、筋量との関係も知りたかったので、代謝異常を有するSfpq(RNA結合タンパク質)の骨格筋特異的KOマウス(Sfpq-KOマウス)への高脂肪食を投与したマウスのRNA-seqの結果を加えた3つのトランスクリプトーム変化を元に解析を行った。 Cold exposureも運動も脂質代謝系の遺伝子発現の亢進が言われているが、その二つのトランスクリプトーム変化は異なっている部分が多くあった。しかし、共通して発現が上がる遺伝子もあり、これにSfpq-KOマウスのHFD投与でのトランスクリプトーム変化を加えると、これらには共通して発現上昇する遺伝子群(パスウェイ)があったことが分かった。また、これらの中のいくつかの条件でPGC1αのあるアイソフォームが大きく発現上昇することも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りだが、一昨年の緊急事態宣言による遅延の影響からRNA-seqの解析が遅れ、その分、制御因子の同定が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
いくつかの条件でのRNA-seqの結果を組み合わせた結果から骨格筋代謝制御を行っていると疑われる遺伝子やパスウェイを同定し、その遺伝子のsiRNAによるノックダウンや過剰発現によるPGC1αの発現量やisoform変化、筋代謝への影響を解析する。
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Causes of Carryover |
2020年度の緊急事態宣言等の影響でRNA-seq解析が遅れ、それに伴い、標的決定が遅れたためにsiRNAなどのマテリアル購入・解析のためのマテリアル作成が遅れた。また、COIVD-19による影響が長引き、出張も思うようにできなかったため。 2020年度に使用するはずだった費用は、siRNAなどのマテリアルの購入・候補因子の下流の解析のためのRNA-seq等に使用する。
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