2021 Fiscal Year Research-status Report
Role of the BMP system and effect on blood pressure regulation in the adrenal cortex
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20K17512
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
原 孝行 岡山大学, 大学病院, 助教 (20794340)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | BMP / 副腎皮質ステロイド / アルドステロン / コルチゾール / H295R |
Outline of Annual Research Achievements |
高血圧は最も多い生活習慣病であり、特にメタボリックシンドローム・肥満患者の高血圧にはレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系の亢進が関与するとされ、脳心血管合併症予防にその制御が重要である。我々は副腎皮質内にBMPシステムが存在し、BMP-6およびActivinがそれぞれAng II-MAPK・ACTH-cAMP/PKAを介してアルドステロン分泌調節に寄与することを報告してきた。BMP-9は他のBMPと比べ高濃度で循環血液中に存在し、循環因子としての機能が注目され、糖尿病や脂質異常症など生活習慣病との関連が示唆されているが、副腎への作用は明らかになっていない。本研究では副腎皮質におけるBMP-9の役割について検討した。BMP-9はヒトH295R細胞でのコルチゾールおよびアルドステロン基礎分泌には影響を与えず、また、高カリウム状態でのホルモン産生には有意な変化を与えなかったが、一方、BMP-9はAngIIによるコルチゾール分泌に弱い抑制作用を示し、さらに、forskolinおよびdibutyryl-cAMPで誘導されるステロイド合成酵素(StAR・CYP11B2、CYP17)のmRNAレベルを減弱し、cAMPを低下させることで、コルチゾールおよびアルドステロン分泌を抑制した。また、副腎皮質での細胞内シグナル伝達としてBMP-9はSmad1/5/8のリン酸化を介すること、また、BMP受容体ECD蛋白を用いた検討からBMP-9の副腎皮質おける受容体としてALK-1/BMPRIIが機能することが示された。以上よりBMP-9は副腎皮質においてBMP受容体(ALK-1/BMPRII)を介してcAMP-PKA経路を抑制することで副腎皮質ステロイド産生を抑制することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の流行における活動制限等あり、研究の進行にやや遅れがあり、予定期間を延長した。遂行できなかった事項については、次年度の計画とともに遂行可能と考えている
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の検討にてBMP-9は副腎皮質においてcAMP-PKA経路を抑制することで副腎皮質ステロイド産生を抑制することが示唆された。今年度は細胞内シグナル阻害実験や細胞内key moleculeのリン酸化の変化や細胞内・外のcAMPレベルの変化等を確認し、その詳細な機序を検討した。さらに、肥満、生活習慣病、メタボリックシンドローム患者における高血圧の原因や病態へのBMPの影響を明らかにし、既存の薬剤のより効果的な使用法や組 み合わせやRA系阻害薬の効果不応例の病態の解明、また既存の薬剤とは異なった機序での 降圧薬の開発への足掛かりとなる可能性を探求する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度、COVID-19の流行における活動制限等があり、次年度実施することとなったH295R細胞におけるBMP-9およびforskolin刺激アルドステロン合成調整シグナルの解析に必要な費用等に充当する。
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