2022 Fiscal Year Annual Research Report
β細胞におけるプリン受容体シグナルが細胞内代謝・インスリン分泌に与える影響の解析
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20K17515
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内田 啓一郎 京都大学, 高等研究院, 特定研究員 (80869701)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | VNUT / β細胞 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度行ったVNUT欠損マウスと野生型マウスから単離したランゲルハンス島のRNA-seqを行いGene set enrichment analysisを行ったところ免疫関連の項目が上位に上がってきたため、ランゲルハンス島内に最も多い免疫細胞であるマクロファージに着目して研究を進めた。これまでにマクロファージのVNUT欠損の影響については細胞株を用いた報告しか存在しなく、実際に生体内のマクロファージの挙動に影響するかどうかを判断するために、Bone Marrow Derived Macrophage(BMDM)の表現型を解析した。BMDMをLPSで刺激したところ、高濃度では有意な差を認めなかったが、低濃度のLPS刺激ではIL-6やIL-1β、TNF-αといった炎症性サイトカインの発現が低下していることがわかった。 上記の結果をうけ、すでに報告されている脂肪負荷時のNASHの改善の表現型なども炎症細胞に由来するという仮説を立てた。仮説を検証するために、NASHモデルであるMC4RマウスにVNUT由来の骨髄を移植し、野生型マウス由来の骨髄を移植したマウスと比較したが、通常食負荷およびウェスタンダイエット負荷群の両方で体重、肝逸脱酵素、血糖値のいずれでも有意な差を認めなかった。以上から骨髄由来のマクロファージのVNUT欠損が代謝改善の表現型に寄与するという明確な根拠は得られなかったが、組織に常在するマクロファージは放射線抵抗性であることが報告されており、骨髄移植で完全に遺伝子型が置換できていない可能性も考えられた。
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