2020 Fiscal Year Research-status Report
膵島と腺房細胞の相互作用におけるGLP-1を介した膵β細胞増殖制御機構の解析
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20K17516
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
京原 麻由 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (20828545)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | GLP-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はGLP-1による膵β細胞増殖制御における新規経路を同定することを目的に、マウス単離膵島にリラグルチド (Lira) を添加し定量的プロテオーム解析を行い、外分泌腺の消化酵素であるAmy1や、膵腺房細胞に発現し膵β細胞へ作用する可能性が報告される分泌因子であるReg1の発現上昇を見出した。単離膵島と腺房細胞の共培養系を確立し、Lira刺激と腺房細胞との共培養により、Reg1、Amy1、P-CadやCx26といった細胞接着因子の発現が、膵島において上昇することを確認した。これより、Liraにより膵島と腺房細胞の接着が促進された結果、腺房細胞由来のReg1の発現が上昇したと考えられた。 Reg1欠損マウス (KO) 単離膵島では、野生型マウス (WT) に比較し、Lira添加時のATF2遺伝子発現が低下した。WT膵島をWT腺房細胞と共培養すると、Liraによる膵β細胞増殖は促進された。一方、WT膵島とKO腺房細胞の共培養では、Liraによる膵β細胞増殖は低下した。また、マウスへのLira皮下注による膵β細胞増殖は、WTに比較しKOで低下した。 以上より、Liraは膵島に作用し、接着分子の発現誘導により膵島と腺房細胞の接着を促進し、腺房細胞由来のReg1の誘導によりATF2を介して、膵β細胞増殖を促進する可能性があり、GLP-1による膵β細胞増殖作用において、膵島と腺房細胞の相互作用による、Reg1を介した新規経路の存在が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、GLP-1による膵β細胞増殖作用における腺房細胞由来のReg1の関与、GLP-1/Reg1を介した膵β細胞増殖シグナル経路としてATF-2の関与を示した。おおむね研究実施計画通りであり、上記とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究実施計画通りに、マウス膵島における細胞接着因子の発現解析、GLP-1/Reg1を介した増殖シグナル経路の解析やReg1受容体EXTL3の関与の解析、ヒト膵島における膵β細胞と腺房細胞との相互作用解析を進めていく。
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