2022 Fiscal Year Annual Research Report
エリスロポエチンの非アルコール性脂肪性肝疾患の治療に対する有用性の検証
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20K17517
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
都間 佑介 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (60843290)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エリスロポエチン / 非アルコール性脂肪性肝疾患 / 褐色脂肪細胞 / 脂質代謝 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の研究室では以前よりエリスロポエチン(EPO)のオフターゲット効果の一つである抗肥満・抗糖尿病効果に注目して研究を続けており、過去に申請者はEPOがNAFLDでの脂質代謝改善を導くことを報告したが、その機序は完全に解明できてなかった(Tsuma Y, et al. Biochem Biophys Res Commun. 2019)。褐色脂肪組織の機能亢進/低下がNAFLDの病態の軽減/増悪に寄与するという報告がある(Desjardins EM,et al.Curr Diab Rep. 2018)。申請者のEPOのNAFLD改善作用 (Tsuma Y, et al. Biochem Biophys Res Commun. 2019)と、申請者らの研究グループで証明したEPOによる褐色脂肪組織の活性化作用 (Kodo K,et al.PLoS One. 2017)を踏まえて「EPOのNAFLD改善は褐色脂肪組織によって媒介される」と仮説を立て検証を行うことにした。 EPOと同様に褐色脂肪組織の活性化をきたすことが証明されている薬剤XとYを肥満モデルマウスに投与し、NAFLD改善に寄与するか検証した。薬剤X・Yともに褐色脂肪組織の機能を亢進(熱産生に関与するβ3アドレナリン受容体系のシグナル伝達を活性化)することが報告されている。高脂肪食を与え作成した幼若肥満モデルマウスに薬剤XとYを投与したが、共に肝臓の炎症誘発性遺伝子の発現量を有意に変化させなかった。また肝臓のH&E染色像にて薬剤Yは脂肪滴量に変化をもたらさなかった。以上より、褐色脂肪組織の活性化はEPOのNAFLD改善を媒介しない可能性が示唆された。
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