2022 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌機能異常を伴うIgG4 関連疾患における小胞体ストレスの役割と治療法の検討
Project/Area Number |
20K17518
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
竹島 健 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40647517)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | IgG4関連疾患 / 小胞体ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまで、IgG4関連疾患に伴う内分泌異常についてステロイド治療前後で検討を行ってきた。この中で、糖尿病を合併したIgG4関連膵疾患(自己免疫性膵炎)患者では、ステロイド治療によりインスリン分泌やグルカゴン分泌が改善する可能性を報告した(Diabetes Ther 2018)。近年、膵β細胞における小胞体ストレスの蓄積がβ細胞機能障害を引き起こすことが報告され注目されている。そこで本研究では、IgG4関連疾患モデルマウスの作成を試み、耐糖能異常と小胞体ストレスの観点から新たな治療薬の可能性を検討したいと考えた。 まず、カラム精製により抽出した患者血清由来IgGsを新生児マウスに皮下投与し、IgG4関連疾患モデルマウス作成を試みた。膵組織のHE染色、免疫染色で膵腺房細胞表面から間質にかけてIgG4抗体の結合が確認されたが、顕著な炎症細胞浸潤は認めなかった。新生児マウスを用いる本モデルでは、膵組織の小胞体ストレス評価が困難であり、長期経過で耐糖能評価を行いにくいという問題点があった。 そこで、新たにIgG4抗体の対応抗原として報告されたLaminin511を用い、8週令のBALB/cマウスに免疫し、耐糖能異常、小胞体ストレスを評価する方針とした。Laminin511およびPBS(対象)とフロイントアジュバントでエマルジョンを作成し、4週おきに3回皮下投与を行った。12週目に行ったIPGTTでは、Laminin511投与群がコントロール群に比して血糖高値であったものの有意差はなかった。また、病理組織学的検討では、膵組織で顕著な炎症細胞浸潤は認められず、小胞体ストレスマーカーの遺伝子発現もLaminin511投与群と対象群で有意差はなかった。 今後、IgG4関連疾患の病態形成に強く関わる新たな抗原が見つかれば、本研究モデルを基に検討を行っていきたい。
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[Book] 胆と膵2022
Author(s)
竹島 健, 赤水 尚史
Total Pages
302
Publisher
医学図書出版
ISBN
9784865174984