2020 Fiscal Year Research-status Report
メラトニン代謝産物であるAMKによる長期記憶形成促進作用と機序
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20K17520
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| Research Institution | Sophia University |
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Principal Investigator |
岩下 洸 上智大学, 理工学部, 研究員 (90802489)
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2020-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | AMK / メラトニン / 学習 / 記憶 / 長期記憶 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
学習や記憶は動物が環境に適応するために必要な基本機能であり、学習・記憶の神経機構の解明は神経行動学・神経心理学分野における重要課題の一つである。メラトニンは全身の多くの組織で合成され、その受容体は記憶と関係の深い海馬を含めて脳に広く分布するため、学習・記憶において重要な役割を果たしている可能性は十分に考えられる。一方、メラトニンの脳における代謝産物として知られるAMKが学習・記憶に与える影響についてはこれまで報告がなされていなかったが、最近、我々の研究グループは、AMKがたった一回の投与によって強力な長期記憶形成促進作用を有することを発見した。
本研究では、AMKによる長期記憶誘導の作用機序の一端を解明することを目的とし、これまで我々が用いてきたメラトニン合成能を持たない系統のマウスだけでなく、メラトニン合成能を持つ系統のマウスを用いて実験を行う。これにより、内因性のAMKが長期記憶形成に与える影響を調べ、AMKの生理的な作用や役割を調べる。次に、これまで用いてきた物体認識試験だけでなく、位置認識試験においてもAMKの作用を調べる。これにより、空間記憶においてもAMKが長期記憶形成を促進するか否か検証する。さらに、AMKが長期記憶形成において重要なタンパク質や遺伝子の発現量に与える影響を調べることで、AMKが長期記憶形成を促進する機序に迫る。
昨年度は外因性のAMKによる薬理学的な作用ではなく、内因性のAMKが学習・記憶に与える影響を調べた。その結果、AMKの分泌量が高まる夜間においてメラトニンからAMKへの代謝を阻害することで、学習・記憶能力が昼間の水準まで低下することが分かった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題では、３つのテーマに取り組む予定である。テーマ１では内因性のAMKが学習・記憶に与える影響を調べる。テーマ２ではこれまで学習・記憶の促進作用を確認できた学習試験系以外におけるAMKの作用を検討する。テーマ３ではAMKの作用機序を解析することを目的とする。
昨年度はテーマ１について、内因性のAMKが学習・記憶能力を高めることを確認した。しかし、テーマ２と３については準備中または進行中の段階である。また、２においては老齢マウスを用いた実験を行う予定であるが、新型コロナウイルスによる感染症の影響により、長期にわたる育成を途中で中止せざるを得ないリスクがあり、育成の開始を見送った。以上より、進捗状況を区分３にした。
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| Strategy for Future Research Activity |
本年度は、テーマ２と３について実験を行う予定である。テーマ２ではこれまで用いていた物体認識試験ではなく、空間認識試験におけるＡＭＫの作用を調べる。また、来年度に老齢マウスを用いた実験を行うために、育成を開始する予定である。テーマ３では、現在ウェスタンブロットによる学習・記憶関連タンパクの測定を準備中であり、測定候補を精査の上、ＡＭＫによる影響を検討する。
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| Causes of Carryover |
予算の大半を占めるReal-time PCR用の装置の支出を、初年度に組み込んだが、初年度では取り組まなかったため、まだ購入していない。そのため、本年度に繰り越している。また、本課題の前に行っていた研究において残っていた試薬を先に使ったものも存在する。初年度に計上していたそれらの試薬は、本年度以降に追加の必要に応じて購入する形で繰り越しになる予定である。
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