2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K17527
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
樋口 誠一郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (80802587)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 副腎腫瘍 / コルチゾール産生腺腫 / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
Cortisol産生副腎皮質腺腫(CPA)やAldosterone産生腺腫(APA)は、臨床上よく遭遇する副腎皮質腫瘍だが、その体細胞変異の知見が集積されてきた。しかしながら、遺伝子変異が病態やフェノタイプにどのように寄与するのかについては、十分に明らかとなっていない。そこで、ジェノタイプ-フェノタイプ連間と腫瘍組織における多様性や細胞間相互作用の病態生理学的役割を明らかにする目的で、摘出したCPA腫瘍組織を対象に、ゲノム変異解析および単一細胞解析を行った。コルチゾール産生副腎皮質腺腫(CPA)は、大きく3群のgenetic subtypeに、ほぼ排他的に分類され(PRKACA: 40.5%、GNAS: 18.4%、CTNNB1 : 24.0%)、c-AMP/PKAとWNT/β-カテニンシグナルの2つの経路に集約していることが明らかとなった。病理組織との統合解析により、それらのカテゴリーがクッシングとサブクッシングの臨床表現系と形態病理学的違い、特にcompact/clear cell比率・p-CREB/CYP17発現レベル・β-catenin発現レベルに関連していた。ヒト摘出手術検体を用いた正常副腎組織とCPA・APA腫瘍組織のscRNA-seq解析では、副腎組織を構成する皮膜・血管・免疫系の各種細胞集団や、adrenocortical linage cellの多様性とprogenitor様小集団などが認められ、CPA中の腫瘍細胞はsteroidogenic enzymeのプロファイルの観点から実に多様で不均一性の偏りを持つことが、シングルセルレベルで明らかとなった。これらの研究成果から、CPAの病態として、遺伝子変異が生じた後に獲得する分子特性が重要であると同時に、一細胞情報を基にした腫瘍細胞の起源やzonationとの関係性が関与することが明らかとなった。今後、ジェノタイプと単一細胞との統合解析に基づく新たな病態や病型分類を構築する必要があると考えられた。
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