2020 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋代謝における性の意義と個体の代謝システムの性差の解明
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20K17528
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 広貴 東京大学, 医科学研究所, 助教 (60784337)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 性差 / 加齢 / サルコペニア / 肥満 / グルココルチコイド受容体 / EPA |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病や脂質異常症、肥満、筋萎縮など、エネルギー代謝に関わる疾患に対する個別医療を開発するためには、代謝が性やライフステージによって影響されるメカニズムの基礎的理解が必要である。本研究では、骨格筋の代謝に着目し、その性差や加齢変化、そして個体全体の代謝への影響を追究している。 マウス骨格筋の網羅的な遺伝子発現解析をとおして、骨格筋における脂質代謝関連遺伝子の発現に性差があることを見出した。骨格筋特異的グルココルチコイド受容体欠損マウスを用いた解析から、骨格筋の遺伝子発現の性差の一部は骨格筋グルココルチコイド受容体により制御されていることを明らかにし、論文発表した(Endocrine Research. 2021)。 また、マウス骨格筋の加齢変化について、性差とともに調べた。加齢に伴う骨格筋の遺伝子発現変化や組織学的変化には性差があり、それらは骨格筋機能や個体の代謝にも影響する可能性が見出された。とくにオスにおいて顕著な変化として、骨格筋重量の減少よりも早期に筋線維タイプの移行と筋力低下とが生じていた(早期のサルコペニア)。このようなサルコペニアの変化への有効な介入法を探索するなかで、エイコサペンタエン酸(EPA)の投与が骨格筋の加齢変化に拮抗すること、加えて個体全体の代謝(耐糖能など)にも保護的効果を発揮することを明らかにし、論文発表した(American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism. 2021)。 そのほか、肥満における代謝の性差に骨格筋代謝の性差が関与することを示す予備的知見を得ており、現在解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨格筋の性差および加齢変化、その制御因子や介入法に関する知見、さらに個体全体の代謝との関連などについて一定の成果を上げており、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
骨格筋代謝における性の意義と個体の代謝システムの性差をさらに明らかにするべく、性変容モデル(性腺摘除など)や肥満・加齢など種々の代謝変容モデルを組み合わせながら、包括的な多臓器解析を進める。
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Causes of Carryover |
今年度は、COVID-19の流行に伴って研究活動に制限が生じたため、当初の予定よりも消耗品などの支出は大幅に少なくなった。同様の理由で、学会の中止や開催様式変更などがあり、それらへの参加に伴う支出もなかった。既得サンプルの解析などを中心に行うことで、研究の進捗に遅滞がないよう努めてきた。 引き続き、骨格筋代謝における性の意義と個体の代謝システムの性差の解明を目指し、種々の代謝変容モデル・遺伝子改変動物を用いて、解析を進めていく。
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