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2020 Fiscal Year Research-status Report

甲状腺ホルモン結合蛋白(CRYM)欠損における肥満及びPPARγ上昇と機序の解明

Research Project

Project/Area Number 20K17529
Research InstitutionShinshu University

Principal Investigator

大久保 洋輔  信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (70793925)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2022-03-31
Keywords肥満 / 甲状腺ホルモン
Outline of Annual Research Achievements

我々は細胞質甲状腺ホルモン結合蛋白μクリスタリン(CRYM)を欠損したマウスへ高脂肪食負荷を行うと、肝臓でのPPARγの発現増加とともに脂肪肝の形成及び白色脂肪組織の増大が起こり、肥満を呈することを報告した(BBRC, 508 (2019), pp. 914-20.)。さらにCRYM欠損マウスでは摂餌量が多いことも肥満に影響していると考えられたが、摂餌量を野生型と同量にした場合(pair-feeding)であっても白色脂肪の有意な増加を認めた。本研究ではCRYMの有無が、白色脂肪および肝臓におけるPPARγ周辺領域の遺伝子発現解析結果に与える変化を詳細に検討しその機序を解明すること、また食欲へのCRYMの働きを解明することの2点を目標とした。
PPARγについては予備実験で白色脂肪のマイクロアレイでCRYM→canonical Wnt/β-cateninシグナル→PPARγといったカスケードの存在が示唆されていたことから、肝臓でも同様にCRYMと相互関係にある因子の解析を行い、PPARγとCRYMを結ぶブラックボックスの解明を目指している。また、それらの機序に甲状腺ホルモンの有無がどのように影響しているかについてもin vivoの実験を追加して確認する。食欲について甲状腺ホルモン低下がCRYM欠損マウスの摂餌量を低下させて野生型とほぼ同量の摂餌量となることから、甲状腺ホルモンがCRYMの有無による食欲増減に影響している可能性があり、食欲に関連する因子の探索も行っていく。
最近では甲状腺ホルモンの脂肪肝や肥満への治療応用に向けて再び注目されている。CRYMが甲状腺ホルモンの代謝作用に重要な役割を有している可能性があり、肥満及び、食欲の新たなメカニズムの解明、代謝疾患治療への応用ができる可能性がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

内臓白色脂肪に対するマイクロアレイでcanonicalWnt/β-cateninシグナルの変化をとらえたことから、高脂肪食負荷の肝臓組織にマイクロアレイを施行したが、白色脂肪と同様の因子での変化は認めず、canonicalWnt/β-cateninシグナルに共通する因子の変化はとらえることはできなかった。甲状腺ホルモンとの影響を考慮して甲状腺ホルモンの亢進、低下状態によりCRYMの甲状腺ホルモンとの働きをより明確にした条件での肝臓および白色脂肪での遺伝子変化における共通項目の有無をcanonicalWnt/β-cateninシグナルを含めて確認していく方針に切り替えて実験を進めている。
甲状腺ホルモンの白色脂肪への影響を確認する実験として3T3L-1細胞にT3を加えたところ、CRYM遺伝子の発現増加をきたした。T3が白色脂肪のCRYMに影響を与える可能性が高いことが確認されており、予定していたsiRNAの実験を継続して行っている。現在のところ細胞株へのsiRNAの導入に難渋しており、継続して実験中である。
食欲に関して、高脂肪食のみでの負荷ではCRYM欠損マウスで食欲の亢進は認めるものの下垂体での食欲関連因子の変化は実験を繰り返したうえでもとらえられなかった。そこで、甲状腺ホルモンの有無を加えることで食欲の影響を確認し、甲状腺機能低下状態でのCRYM欠損マウスの食欲は野生型と同等であったことから、CRYM欠損マウスの食欲亢進には甲状腺ホルモンが強く影響していることが分かっており、ホルモン低下状態及び補充状態での下垂体の遺伝子発現の変化についての実験に切り替えて実験を進めている。

Strategy for Future Research Activity

これまでは高脂肪食負荷によりCRYM欠損の表現型を解析してきたが、実験を重ねる中で高脂肪食のみの解析では遺伝子変化を含めてCRYMの働きを解明することは難しい可能性があることが分かってきた。そのため、甲状腺ホルモンを負荷することによる亢進状態、または低ヨウ素食と抗甲状腺薬を用いた甲状腺ホルモンを著明に低下させた低下状態といった甲状腺ホルモンを調整によるin vivoの実験を並行して行うことで最終の目標であるCRYMと肥満を含む代謝への経路を解明にむけて対応して実験を継続している。
現時点で野生型およびCRYM欠損マウスを甲状腺ホルモンが極端に低下した状態にすると、CRYMの有無が体重や食事量に両群差は消失した。しかし、CRYMが欠損したマウスでは体重増加が少ないにもかかわらず著明に肝臓内の脂肪及び内臓脂肪の蓄積が認められた。また、この甲状腺ホルモンが低下した状態のマウスに腹腔内に甲状腺ホルモン(triiodothyronine: T3)を投与する補充を行うと、1週間の補充で肝臓での脂肪蓄積が著明に改善した。これらのことから、甲状腺欠乏がCRYMの脂肪蓄積に関与している可能性が認められた。甲状腺ホルモンの有無による肝臓や脂肪細胞での遺伝子発現についての解析を進めることで、予定していた実験では難しかったCRYM蛋白とがどのように代謝にかかわっているかを甲状腺ホルモンとのかかわりも含めて解明していくように努めていく。

Causes of Carryover

初年度施行実験において修正点がでた。そのため、次年度使用額は令和3年度支給額と合わせて、使用額において主要な額を占めるマイクロアレイといった検査などに使用する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2021 2020

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] 甲状腺ホルモンと肝脂質代謝2021

    • Author(s)
      大久保洋輔
    • Journal Title

      信州医学雑誌

      Volume: 69 Pages: 67,70

  • [Presentation] Loss of μ-crystallin increases adipose tissues with inhibitory effects on adipocyte differentiation through β catenin dependent mechanism s in high fat diet fed mice.2020

    • Author(s)
      YOHSUKE OHKUBO, SHIN-ICHI NISHIO, YASUHO SHIMADA, SATOSHI KUBOTA, JUNICHIRO KITAHARA, YUSUKE SHIBATA, KOHEI KITAJIMA, TAKASHI SEKIDO, SATORU SUZUKI, MITSUHISA KOMATSU.
    • Organizer
      80st Scientific Sessions of American diabetes association.
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2021-12-27  

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