2020 Fiscal Year Research-status Report
光遺伝学的手法によるcGMP活性制御に基づく低身長症の治療法の開発
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20K17532
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
廣田 圭昭 京都大学, 医学研究科, 助教 (20852263)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | C型ナトリウム利尿ペプチド / 生体イメージング / 内分泌学 / 骨代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ライブイメージングを用いて成長板軟骨でcGMPが軟骨細胞の分化に与える影響を明らかにし、さらに光遺伝学的手法によるcGMP産生制御に基づく新たな骨伸長法の確立と低身長症治療への応用を目指す。本年度は、CNPが細胞内cGMP濃度の動態に与える影響を解析するため、FRETの原理に基づきcGMP濃度の変動をリアルタイムで観察できるバイオセンサーを軟骨前駆細胞株ATDC5細胞に導入し、生細胞イメージングの系の確立に取り組んだ。まず、バイオセンサー導入後のATDC5細胞に対し分化誘導を行い、定量PCRを用いて分化誘導後日数と分化状態を評価した。その結果、分化誘導後7日目においてX型コラーゲンの発現量の増加を認め肥大化軟骨細胞に分化することを確認した。次に、軟骨細胞の各分化段階において生細胞イメージングを用いたCNP添加実験を行い、CNPによる細胞内cGMP濃度の上昇の定量化に成功した。近年、心筋でのCNPの作用において、cGMPとcAMP/PKAシグナル経路間の相互作用が報告されており、CNPの骨伸長作用においても同様の相互作用が存在するかについて、PKA活性の変化を検出できるバイオセンサーをATDC5細胞に導入し生細胞イメージングを行うことにより、CNPによるPKA活性の変化を確認した。その結果、CNPにより細胞内PKA活性が上昇することが明らかとなった。そこで、PKA-FRETバイオセンサーが全身に発現したトランスジェニックマウスの成長板軟骨で二光子顕微鏡を用いた生組織イメージングを行い、CNPによるPKA活性化について観察を行った。その結果、ATDC5細胞と同様にCNPにより細胞内PKA活性が上昇することが明らかとなった。今後は、cGMPとcAMP/PKAシグナル経路の間での相互作用の生理的意義の解明と、光遺伝学的cGMP活性化ツールを用いたcGMP活性制御を可能とする実験系の確立に引き続き取り組む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究が順調に進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り研究を遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画は順調に推移している。次年度使用額が生じた理由として、昨年度は、参加予定であった学会の現地開催が中止されたため旅費が不要となったことも一因と考えられる。今後の使用計画としては、引き続き物品費・旅費・論文投稿費として使用する予定である。
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