肥満から前糖尿病段階におけるミトコンドリア代謝経路の時系列・多階層数理解析

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K17537
• Research Institution: Kyushu University
• Principal Investigator: 湯通堂 紀子 九州大学, 生体防御医学研究所, 特任助教 (00631649)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: 時系列データ / 多階層データ / 数理解析 / キナーゼ

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、タンパク質リン酸化に注目して、肥満から糖尿病が発症する前段階（前糖尿病状態）までの過程における、ミトコンドリア代謝経路の時系列の変動・シグナル動態を解明することを目的としている。研究方法は、まず肥満から前糖尿病状態のモデルマウスの肝臓を用いて、時系列リン酸化プロテオーム解析を行う。次に、得られた測定データを含む、3階層（リン酸化プロテオーム・発現プロテオーム・メタボローム）の時系列オミクスデータを用いて、ミトコンドリア代謝経路変動の数理解析を行う。
R3年度は、昨年度に取得、前処理を行った3階層の時系列データを用いて、ミトコンドリア代謝経路の変動の検出と数理解析を行った。単階層の変動及び、多階層にまたがる変動を検出することができたため、それらの変動の数理解析を試みた。しかしながら数理解析の過程で、データのクリーニング条件と変動検出の閾値設定に、追加の検討が必要なことが判明した。そこで、データのクリーニング条件と変動検出の閾値設定を再度検討し、これらの条件を決定後、数理解析を行うこととした。また当初の計画に加えて、シグナル伝達機構のより上流を理解するために、キナーゼ推定の解析ソフトウェアを使用して、変動リン酸化部位の責任キナーゼの推定を行った。
現在再検討中のデータクリーニングと変動検出の条件決定後に、多階層にまたがる時系列変動の検出と変動の数理解析を行い、推定された上流キナーゼの情報と合わせて、ミトコンドリア代謝経路変動のシグナル動態の解明を試みる。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

検出された変動の数理解析の過程で、データのクリーニング条件と変動検出の閾値設定に、追加の検討が必要なことが判明したため。

Strategy for Future Research Activity

3階層（リン酸化プロテオーム・発現プロテオーム・メタボローム）をつなぐ変動を検出するために、適切なクリーニング条件、閾値設定を再検討し、決定する。3階層をつなぐ変動を同定した後に、変動の数理モデルを作成する。多階層変動の数理解析の結果と変動リン酸化部位の責任キナーゼの情報から、シグナル動態の解明を目指す。

Causes of Carryover

新型コロナウイルス流行の影響や研究計画の変更から、参加予定だった学会に参加しなかったため、学会参加費・旅費として使用しなかった。次年度に学会参加費・旅費として使用予定である。
また、追加の解析に必要なソフトウェア等の購入費用として使用予定である。