2021 Fiscal Year Research-status Report
免疫チェックポイント阻害剤治療における超早期HLA拘束性内分泌バイオマーカー
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20K17541
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
栗本 千晶 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (90751040)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度の研究においては、当初の計画に従い、免疫チェックポイント阻害剤による内分泌的免疫関連副作用(内分泌irAE)の超早期HLA拘束性エピトープを同定し、内分泌irAEの早期診断治療につなげるための研究を行った。まずは、基礎的研究において、研究代表者が2020年度に発表した免疫チェックポイント阻害剤による甲状腺障害のサイトカイン動態や、マウス甲状腺障害を明らかにした論文(Cancer Sci. 2020;111(5):1468-1477)の結果に基づき、さらに精査を進めた。その結果、今回の研究のメインテーマである、いくつかの内分泌自己抗原に関する抗原予測データが明らかとなった。それらの抗原蛋白質の分子量や疎水性といった特性を生かし、研究結果を発展させ、現在はin vivoにおける内分泌自己抗原エピトープの抗原性に関する検討を進めている。臨床研究においては、我々のグループが昨年度に発表した甲状腺におけるirAEに関する疾患感受性HLAの論文(Endocr J. 2020;67(8):859-868)を基に、発展的研究を行っている。その中でも、内分泌臓器の一つである膵臓に関して、免疫チェックポイント阻害剤による1型糖尿病の臨床データを用い、統計学的解析を行ったところ、いくつかの生化学的要素や宿主因子に重要な特徴があることを突き止めた。さらに、この結果を我々のグループが2021年糖尿病学会近畿地方会にて発表し、非常に高い評価を得て優秀発表演題賞を受賞した。このため、内分泌臓器を俯瞰的に検討することが今後の研究の展開において必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究成果の一部は論文化されたものの、当該研究における予算不足が原因で、in vitroの検討において、甲状腺濾胞上皮泌細胞、下垂体前葉細胞、膵内分泌細胞、副腎皮質細胞に加えて、不死化免疫担当細胞の培養系確立に時間を要している。臨床的な検討に関しては、当院および研究協力施設において倫理委員会承認のもと、インフォームドコンセントをえて検体収集を行い、サイトカイン、ケモカイン、遺伝子検査を進めているが、こちらも予算が充足できず、完遂できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に交付された予算をもとに、何とか頑張って以上の基礎的および臨床的研究の体制を確立させたい。In vitroの評価系を確立し、GPCRにおいては、Gs、Gq蛋白の機能解析、リガンド刺激による細胞内cAMP、cGMPおよびCa濃度の評価、CFSEラベリング等を行う。全身性内分泌腺における障害および腫瘍につき、検討を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度に予定した実験の一部が繰り越しになった
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