2020 Fiscal Year Research-status Report
神経芽腫における抗腫瘍免疫抑制機序解明と新規免疫療法の開発
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20K17548
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉澤 比呂子 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (60814746)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 神経芽腫 / 樹状細胞 / NKT細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、神経芽腫がもつ抗腫瘍免疫に対する抑制効果の作用機序解明と、免疫抑制状態の打破を目指した樹状細胞を用いた免疫療法の開発を目的とする。 令和2年度は、樹状細胞の機能を抑制する腫瘍細胞株群の培養上清中に含まれる可溶性因子同定のため、腫瘍細胞における網羅的遺伝子発現解析をRNA-sequenceを用いて行い、腫瘍培養上清のプロテオーム解析を行った。樹状細胞に対して抑制機能を有しない腫瘍細胞株群と比較し、抑制機能を有する腫瘍細胞株群で発現変動を認めた遺伝子およびタンパクの候補として10種類まで絞りこんだ。また、神経芽腫細胞株から分泌される可溶性因子によってヒト単球由来樹状細胞の分化が阻害されるメカニズムおよびサイトカイン産生抑制機構について、RNA-sequenceを用いた網羅的遺伝子発現解析を実施した。コントロールとして、腫瘍細胞培養上清を添加せずに誘導した樹状細胞もしくはIL-12産生抑制を誘導しない神経芽腫細胞株の培養上清を添加して誘導した樹状細胞を用い、腫瘍細胞培養上清添加群の樹状細胞とそれぞれの遺伝子発現量を比較し、候補遺伝子を抽出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・神経芽腫細胞株の培養上清がヒト末梢血中の単球及び樹状細胞に及ぼす影響の解析の解明のため、ヒト末梢血単球より樹状細胞を誘導する培養系を用いて、未熟もしくは成熟樹状細胞を得たのち、この培養系に神経芽腫細胞の培養上清を添加し、樹状細胞の分化に及ぼす影響を検討した。神経芽腫細胞株の培養上清が末梢血単球の樹状細胞分化を阻害し、その結果IL-12産生能を著明に抑制することで、抗腫瘍免疫を抑制することを見出してきた。培養後の樹状細胞の表面抗原マーカーをFACSにて解析するとともに、単球や成熟樹状細胞の産生するサイトカインをCBA法にて測定し比較検討している。さらに、樹状細胞や腫瘍細胞株のRNA-sequenceの結果から、神経芽腫腫瘍環境における免疫抑制に関わる遺伝子の候補をあげ、候補遺伝子をノックアウトやノックダウン、過剰発現することで樹状細胞の抗腫瘍免疫抑制を解除できるか検討する予定である。 ・正常健常人、小児担癌患者および小児非担癌患者から末梢血を採取し解析する研究計画を立案し、倫理審査委員会の承認を得た。ヒト末梢血より単核球を分離し、フローサイトメトリーによりリンパ球分画を同定、定量化し比較検討している。また、CD14陽性単球を分離し、7日間の培養を経て、細胞表面上の免疫チェックポイント分子など活性化・抑制性補助分子の発現解析やサイトカイン産生量の測定を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
・神経芽腫細胞株によって産生される抗腫瘍免疫抑制作用を有する可溶性因子のさらなる絞り込み、同定のため、腫瘍細胞株の種類を増やしてIL-12産生抑制群および非抑制群について比較することを検討している。同定された可溶性因子の阻害法を開発し、腫瘍培養上清中の可溶性因子阻害による治療の開発を行う。また、単球由来樹状細胞の分化を阻害するメカニズムおよびサイトカイン産生抑制機構について、RNA-sequenceを用いた網羅的遺伝子発現解析の結果より同定された遺伝子に関して、遺伝子のノックダウンやノックアウト、過剰発現をして抗腫瘍免疫抑制に関わる遺伝子やタンパクの同定を進めていく。さらに、同定された可溶性因子の阻害実験にて、IL-12産生能やNKT細胞活性化能の回復が得られるかを検討する。 ・In vivoにおいては、NOGマウスに対して、神経芽腫細胞株を皮下注射または静脈内注射を行い、神経芽腫腫瘍モデルマウスを作成する。同定された、神経芽腫細胞株から分泌される可溶性因子を阻害し、神経芽腫による樹状細胞を介した抗腫瘍免疫抑制を解除することが可能かを検討し、治療としての有効性を評価する。
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Causes of Carryover |
令和2年度は世界的なコロナウイルス感染の影響で当該年度中に必要な試薬の購入・納品が十分にできない状態にあった。前年度に購入・納品ができなかった必要試薬に関しては、次年度に購入・納品を計画している。
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