2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K17557
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
遊佐 俊彦 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (20867204)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / 腫瘍微小環境 / 腫瘍関連好中球 / 腫瘍関連マクロファージ / CD8陽性Tリンパ球 / 制御性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年抗腫瘍免疫能を賦活化する治療が肝細胞癌においても臨床応用されており、治療に関わるバイオマーカー探索や、新たな治療標的探索の重要性は高まっている。我々はこれまで肝外胆管癌において様々な腫瘍間質に存在する免疫担当細胞構成細胞に注目し、根治切除後の生存予後との関連性を調べると、腫瘍内の好中球 (tumor associated neutrophils: TANs)、マクロファージ (tumor associated macrophages: TAMs)、CD8+ T細胞、制御性T細胞(Treg)といった細胞群は互いに関連していること、さらにこれらの細胞を用いてRisk- signature modelを作成すると、切除後の予後を予測できることを報告した。本研究においては、肝細胞癌において腫瘍内部および腫瘍周囲の双方で免疫細胞の局在を調べ、臨床病理学的因子との関連性や予後に与える影響について明らかにしていくことを目的としている。2020年度は2004年から2013年に当科にて初回肝切除術を施行したHCC患者225例を対象とし、主に切除検体のパラフィン組織を用いた免疫染色にて種々の免疫細胞の局在・浸潤の程度と患者背景因子や予後との対比を行った。腫瘍内部および腫瘍辺縁部のTANについて評価を行うと、腫瘍辺縁部に存在するTAN浸潤数が多い症例では腫瘍被膜の形成や、被膜への腫瘍浸潤が多かった。各免疫細胞間の関連性としては、腫瘍辺縁部においてTAN,TAMは相関関係を、TANとCD8+ T細胞は逆相関関係を示した。また、予後についての検討では腫瘍辺縁部のTAN、TAMが多い症例やCD8+ T細胞が少ない症例においては有意に予後不良であった。腫瘍辺縁部における4種の免疫細胞についてRisk- signatureを作成すると、High-risk群はLow-risk群と比較して有意に予後不良であった。2020年度は上記内容をまとめ論文化し、現在投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は免疫細胞群の関連性の評価と、Risk signature作成を予定しており、上記結果の通り概ねの計画は達成できたが、免疫細胞の種類として免疫細胞以外の組織構成細胞や因子について、さらにはPD1やPD-L1といった腫瘍免疫と関連する因子については評価することができなかった。また、腫瘍組織からのTANを中心とした免疫細胞分離についてはMACSを用いた分離によりギムザ染色およびFlow cytometryにて分離した好中球の形態学的および機能的な確認と、精製度の向上を目指した。しかし好中球、特にN1/N2 TANとしての特性に関する報告が少ないこともありマーカーを用いた分離精度の確認に難渋した。高純度にて単一細胞を分離することは、切除組織内の局在が免疫細胞の機能変化にどのように影響するかを検討する際に重要であるため、今後の課題とされる。一方、末梢血からの好中球分離については健常ドナーのサンプルを用いてFicollおよびPolymorpoprepを添加・遠心することで形態学的評価において純度の高い検体を得ることが可能であったが、Polymorpoprepを使用することで顆粒球を効率よく分離することができることもわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新鮮組織からの免疫細胞分離についてはその時間的制約もあるため十分なサンプル収集までに時間が必要であるが、先ずは分離プロトコールを確立して効率よく組織検体および末梢血からのサンプル・データ収集を進める。また、免疫細胞群の予後への関連がどのようなメカニズムによって説明されうるかについて、血球分離のみならず、免疫染色などの方法も用いながら検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
理由:試薬、消耗品については、医局内保管のものを使用することができた。また、旅費については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により学会開催形式がハイブリッド開催へ変更となる事が多く出張が減った為、未使用額が生じた。
使用計画:試薬、消耗品の購入及び研究データの管理、資料整理を行ってもらうための事務補佐員の雇用経費に充てたい。また、最新の研究情報を得るため、及び、研究成果発表のための学会出張旅費にも充てたいと考える。
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