2021 Fiscal Year Research-status Report
アポトーシス関連分子を標的としたホルモン療法抵抗性乳癌に対する革新的治療法の開発
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20K17559
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
加藤 明子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (70847459)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乳癌 / BAG2 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳がんの約 80% を占める「エストロゲン受容体(ER)陽性乳がん」のなかには、ホルモン療法の効果が低く、予後不良なものが存在し、その治療成績の向上が緊急課題となっている。最近、BAG2 という分子が、乳がんの転移に深く関与していることが報告された。BAG2 遺伝子は、プロ・カテプシンB という遠隔転移促進因子の分解を妨げることで、乳がんの転移を促進することが報告されている。これらの知見を踏まえ、BAG2 遺伝子の発現亢進が、ER 陽性乳がんに対するホルモン療法抵抗性に関与している可能性に着目した。 私たちは、当施設の乳がん症例を用いて、BAG2 遺伝子発現と予後との検討を行った。その結果、全症例を対象とした解析では BAG2 遺伝子高発現の患者は予後不良であり、乳がんにおける独立した予後不良因子であることがわかった。さらに、術後ホルモン療法を行ったER 陽性乳がんにおいても、BAG2 遺伝子高発現の患者は予後不良であった。一方、ER 陰性乳がんでは、BAG2 遺伝子発現と予後に相関は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
乳癌組織を使用した検討は比較的順調に進んでいるが、乳癌細胞株を用いた検討が進捗中のため
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Strategy for Future Research Activity |
ER 陽性乳がん細胞株を用いて、BAG2 遺伝子の mRNA・タンパク発現の測定を行う。また、プロ・カテプシンB、カテプシンB、カスパーゼ3 の発現解析を行う。さらに、ER 陽性乳がん細胞株における BAG2 遺伝子のノックダウンの効果に関する検討を予定。ER 陽性乳がん細胞株を用いて BAG2 遺伝子を siRNA にてノックダウンし、以下を検討する。Ⅰ) プロ・カテプシンB 等のタンパク発現の検討、Ⅱ) 細胞遊走能・浸潤能の検討、Ⅲ) ホルモン療法の効果に関する検討を予定。
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Causes of Carryover |
乳癌細胞株を用いた検討が進んでいないため。繰越金は実験で使用する試薬や器材など物品費にあてる予定。
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