2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K17561
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 悠地 岩手医科大学, 医学部, 助教 (00779332)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肝再生 / 胚盤胞補完法 / 移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、[課題1]胚盤胞補完法により肝臓欠損個体において多能性幹細胞由来の肝臓を作製し、作製肝臓の組織学的・機能的評価を行うこと、[課題2]胚盤胞補完法により作製した肝臓を同所肝移植することで、作製肝臓が移植可能な臓器として機能することを証明することを目的とした。 R2年度は、[課題1]については、肝臓欠損マウスの胚盤胞期にEGFPでラベル化したEGFP-ES細胞を移入して、ES細胞由来の肝臓の作製を試みた。ES細胞の移入により、肝臓欠損マウスで肝臓が形成され、成体まで問題なく成長することを確認した。肝臓の各種構成細胞を対象とした組織学的解析では、胆管細胞はほぼすべての細胞がEGFP陽性であるのに対して、肝細胞ではEGFP陽性細胞が10%程度であった。肝細胞でEGFPのサイレンシングが生じている可能性を考え、肝細胞特異的にtdTomatoを発現するEGFP-ES細胞を樹立する方針とした。[課題2]については、移植外科医の協力を得て、研究のゴールであるマウス同所肝移植手術の安定化に取り組んだ、合計20回の移植手術を実施し、ドナーおよびレシピエント手術の一連の流れを習得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胎生致死となる肝臓欠損マウスの胚盤胞期にES細胞を移入することで、肝臓欠損個体が、成体まで問題なく成長することを確認した。肉眼解剖所見では、肝臓の形態に異常は認めなかった。肝臓の各種構成細胞を対象とした組織学的解析では、胆管細胞と比較して、肝細胞のキメリズムが低値であった。この点はさらなる検討が必要であるが、胚盤胞補完法により、ES細胞由来の肝臓が作出できる可能性が示唆された。以上より、研究は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
胚盤胞補完法により作出した肝臓の解析で、肝細胞のキメリズムが低値であることから、肝細胞でEGFPのサイレンシングが生じている可能性を考えた。この可能性を検証する目的で、肝細胞特異的にtdTomatoを発現するEGFP-ES細胞を新規に樹立する。そして、樹立したES細胞により胚盤胞補完を行った個体について解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
計画は順調に進展し、若干の次年度使用額が生じたがその金額は5000円未満である。次年度も当初の計画通り研究を継続する。
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